石川県かほく市で8月末に開かれた「かほく市ママ課」と財務省・主計官の意見交換会で、「独身税」の導入が議題に上った。
北國新聞の30日付けの記事によると、参加した女性から「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」という質問があり、出席していた主計官が「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と答えたという。
ネットでは、「独身税で自由に使うカネがない。結婚なんてムリ。という若者を更に量産する」「これ思想及び人身の自由侵害の憲法違反なんだけど」といった批判が殺到し、炎上している。
「『世代や家族構成によって、必要な経費が違う』という趣旨の発言があった」
2006年に創設された「かほく市ママ課」は、子どもを持つ有志の女性が集まり、「ママにやさしいマチづくり」を推進したり、同市の子育てのしやすさをPRしたりすることを目的としている。ただし、同市の政策に直接の影響力を持っているわけではない。
同市の担当者は、キャリコネニュースの取材に対して「参加者から『独身税』の要望があったわけではない」と説明した。
「意見交換会に出席された財務省の阿久澤主計官から、国の借金や財政の状況について説明があり、増税についても検討しなければならないというお話がありました。そうした流れの中で、参加者から『高齢者は経費の負担が大きい。子どもを持つ世代も、子育てにお金が掛かったり、家を建てるのにお金が掛かったりする。負担の大きさが世代や家族構成によって違う』という趣旨の発言がありました」
あくまでも「世代や家族構成によって、必要な経費が違う」という話が出ただけであり、単身世帯に負担を求めたわけではないという。担当者は、「『独身の方の税金を増やしてほしい』ですとか、『独身の方は経費が掛からない』といった旨の発言はありませんでした」と重ねて釈明した。
「独身だと控除や給付がないという現状はお話ししました」
財務省主計局の阿久澤孝主計官も、「『独身税』の導入というような話はしていない」と弁明した。
「参加者の方から『独身でいるよりも家族でいる方が負担が大きくなるのは何とかなりませんか』という旨の質問があったと記憶しています。その質問に対して、私の方から『家族がいる場合は、配偶者控除や扶養控除があり、税の負担が軽くなっています。また児童手当などの給付もあります。むしろ独身ですとこのような控除がなく、税負担が重くなります』という現状をお話ししました。その上で、このような現状をどのようにしていくのか、さらに負担の軽重を見直すのかについては特にお話ししていません」
阿久澤主計官が「確かに独身税の議論はあるが、進んでいない」と発言したと報じられていたが、「『独身税』という言葉は使っていない」とのことだった。