F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画なのだが、今回はF1のモータースポーツ担当マネジングディレクターのロス・ブラウン。ベルギーGPを盛り上げようと自ら積極的に活動していたブラウンに焦点を当てる。
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ベルギーGPの予選後、歴代最多タイ記録となる68回目のポールポジションを獲得したルイス・ハミルトンに、シューマッハ家からのメッセージを伝えにやってきたロス・ブラウン。
FOMのスタッフが直接、こうしてイベントを盛り上げるのに一役買うのは珍しい。バーニー・エクレストンが退き、FOMも変わろうと努力しているのがわかる。
そのブラウンは、翌日の日曜日も精力的に活動していた。そのひとつがミック・シューマッハのデモランイベントである。デモ走行してマシンを降りたミックに、マイクを持ってインタビューに向かったのがブラウンだった。
もちろん、これはFOMのスタッフとしてイベントを盛り上げるためだが、ブラウンにとってもこのイベントは深い意味を持っていた。それはミックがドライブしたB194を走らせた94年、ベネトンでテクニカルディレクターを務めていたのがブラウンだったからだ。
日曜日のグリッド上でブラウンが参加したイベントはそれだけではなかった。F1のスターティンググリッド上にも、その姿はあった。もちろん、FOMのスタッフであるブラウンがF1のスターティンググリッド上にいるのはベルギーGPが初めてではないが、今回はトロフィーを持って「ある目的」のためにやってきた。それはプレゼンターとしてだ。
ブラウンからトロフィーを受け取ったのは、スカイ・スポーツのコメンテータで元F1ドライバーのマーティン・ブランドル。受賞したのは『グリッドウォーク20周年』だ。
ブランドルは引退後のイギリスのテレビ局のITVのコメンテーターとなり、大御所アナウンサーのマレー・ウォーカーとの中継で人気を博した。そのブランドルの人気コーナーのひとつが、『グリッドウォーク』と呼ばれるコーナーだった。
これはスタート直前のスターティンググリッドを中継して行くコーナーで、アポなしでもドライバーたちがインタビューに答えてくれるブランドルの人望の厚さがうかがえる名物コーナーだった。
ブランドルがグリッドウォークを始めたのが1997年のイギリスGPということで、本来であれば、イギリスGPで表彰するためにトロフィーを準備していたが、あいにくブランドルはイギリスGP期間中に内耳炎を発症してレースは欠席。続くハンガリーGPもお休みしていたため、ベルギーGPで受賞することとなった。
ちみにブランドルは92年にベネトンで当時テクニカルディレクターだったブラウンと一緒に仕事をした仲。ベネトンB194のデモランといい、旧ベネトン絡みのイベントが続いたベルギーGPだった。