第13戦イタリアGPの木曜FIA会見は、前週のベルギーGPでまたしても同士討ちを演じたフォース・インディアの2人が登壇するとあって第1部に報道陣が殺到。狭い記者会見場は記者とカメラマンの熱気でムンムン、サウナのような暑さになりました。
まずはなんとも微妙な空気が漂うフォース・インディアの2人の間に座ったセバスチャン・ベッテルが両腕を広げて「君たちはこのくらいの距離がないとね!」と持ち前の天然ぶりを発揮しますが、これで場が和んだのも事実。
朝一番でセルジオ・ペレスがエステバン・オコンの部屋を訪れて2人切りで話し合ったというフォース・インディアの2人は、メディアから予想される質問への答えを事前に決めていたようで、何を聞かれても基本的に同じ答えを繰り返すばかり。
ポイントは「過去は忘れて前に進む」と「チームのランキング4位が最優先」という2点です。
「ここ最近の僕らはずっとかなりの接戦を演じてきたし、何度かインシデントもあった。エンジニアにもファンにもそれぞれにそれぞれの見方や意見があるだろうし、ここでこれ以上議論しても仕方ないと思う。今朝僕がエステバンの部屋に行って個人的に話し合い、最も大切なのは前に進むことだという結論に至った。僕らはこれ以上ポイントを失うわけにはいかないんだ。二度とこんなことは起こらないよ」
ペレスがそう言うと、オコンも「右に同じ」を繰り返します。
「接触したということは何かが間違っていたということだし、お互いが一線を越えてしまったんだ。でも起きてしまったことは変えられない。今朝2人切りで話し合い、全てを忘れて前に進むことにしたんだ。チームのランキング4位獲得のために全力を尽すよ」
一部ではチームが今後このようなことが起こりそうな際にはチームオーダーを発令するという方針を固めたと報じられていますが、これについても2人ともが前述の通りチームが最優先というコメントに終始しました。
「僕らは2人とも充分に大人だ。チームから指示があった場合にはチームの利益を最優先にするよ」(ペレス)
「一番重要なのはチームのためのリザルト。チームから指示があったら僕は従うよ」(オコン)
記者席からの質問は本来ならフェラーリの地元レースで質問が集中するはずのベッテルを差し置いてフォース・インディアの2人にばかり向いてしまい、何度も繰り返される「セブには申し訳ないですが……」の枕詞で苦笑いするベッテルの表情に笑いが起きるという展開に。これにはペレスも思わず「ここはイタリアなのに!」とツッコミを入れてさらに笑いを取っていました。
注目が集まる会見を予定稿の返答でソツなくこなし続ける2人を見て報道陣も暖簾に腕押しと観念したか、後半は本来のイタリアGP会見らしくベッテルに質問が向き、跳ね馬のイタリアGP逆襲に向けてポジティブな雰囲気になったところで第1部はお開き。
大半のメディアが第2部を前に退席し、そのこと自体がフォース・インディア勢への注目度の高さを物語っていたのでした。