1997年のF1世界チャンピオンであるジャック・ビルヌーブは、フォース・インディアのセルジオ・ペレスがF1ベルギーGPでチームメイトのエステバン・オコンに幅寄せしたのは“卑劣な”行動であるとして、激しく非難した。
ビルヌーブは、F1で物議を醸す出来事が起こると、歯に衣着せぬ発言をし、それが論争の的となることもしばしばあるが、今回は彼の意見に同意する者も多いようだ。
アゼルバイジャンGPで表彰台を狙える位置を走りながら接触したペレスとオコンは、ベルギーGP決勝で2度にわたりアクシデントを起こした。レース中盤過ぎにペレスがオールージュ手前でウォールに向けてオコンに幅寄せしたため、2台は接触。この2度目の接触で、オコンのフロントウイングはダメージを負い、ペレスの右リヤタイヤは破損した。最終的にオコンは9位で完走したが、ペレスはリタイアせざるをえなかった(17位完走扱い)。
このアクシデントに関し、ビルヌーブは明らかにペレスに非があると発言した。
「相手が彼のチームメイトだったかどうかは関係ない」とビルヌーブ。
「チームメイトだろうがそうでなかろうが、ふたりのドライバーの間に起こるべきではないことだった。誰かを危険な目に合わせるようなことをしてはならない」
「(レース中には)ブレーキングを遅らせることもあるだろうし、ミスをすることもあるだろう。それはいいとして、ストレートを走行中にラインを変えて、相手を押しつぶすようなことはあってはならない。話にならないよ」
「カーボンのかけらがコース外に飛んで行った。観客を傷つける可能性があったんだ。こんなことはやめさせなければ」
「ペレスのこの行為はレースではない、単なる妨害だ。やるべきではない。攻撃的で卑劣だ」
冷静さを失い、激怒したオコンは、レース直後に「ペレスは2度も僕を殺そうとした」とツイッターで発言、チームメイトへの怒りを示した。
「チーム内でどちらが強いかという内部での争いだ。エゴによって起きていることなんだ」とビルヌーブは付け加えた。
「オコンは特に最初の接触では非常に度胸があった。彼は耐えたんだ。印象的だったよ」
最悪の結果は幸運にも避けられたが、ビルヌーブはスチュワードが介入すべきだったと考えている。このアクシデントについて、スチュワードはペナルティを科さないことを決めた。
「これはレース中に行われうる最も危険な行為だが、F1では処罰の対象にしていない」とビルヌーブ。
「時としてドライバーは、ブレーキングをしくじったり、バトルで混乱したりして、互いに衝突する。そうしたケースは処罰されるべきではないが、アクシデントだとして彼らはペナルティを与えることがある」
「(今回のことは)恥ずべきことだ。FIAが安全性を推進しているというのに、彼らはペナルティを与えようとしない」
「4歳の子供でも分かることだ。ばかげている」
決勝直後は激怒していたオコンだが、その後、落ち着いてから、ペレスの謝罪を受け入れると発言した。度重なる同士討ちに怒ったチーム首脳は、今後はふたりのコース上の戦いを制御すると宣言している。