DENSO KOBELCO SARD LC500、第6戦鈴鹿、一時3位浮上と底力を見せるも残り3周で失意の13位に
スーパーGT第6戦鈴鹿レポート
2017スーパーGT第6戦「SUZUKA 1000km THE FINAL」(8/26~27)
鈴鹿サーキット(1周5.807km)
入場者数:予選2万7500名、決勝4万5000名 合計7万2500名
8月27日(日)SUPER GT第6戦「SUZUKA 1000km THE FINAL」の決勝が行われ、最後列14番グリッドから不撓不屈にランキング首位奪回を狙っていったDENSO KOBELCO SARD LC500は、ふたりのドライバーの素晴らしい走りと相まって長距離レースの戦いを知り尽くしたピット戦略ならびにメカニックのピット作業の速さで順位をどんどんと挽回して上げていった。
レース終盤ラストスティントでは3位に浮上する快挙で底力を見せ、100号車との3位争いの死闘を展開。かわされはしたもののフィニッシュまで諦めないプッシュを続けたが、あと残り3周の169周目のデグナーカーブ出口にて、まさかのコースオフストップ。結果、失意の13位完走扱いとなった。
ドライバーポイントは獲得ならず(計36点)ランキング7位のまま、チームポイントでは1点を獲得(計50点)しランキング6位のままとなった。
自力タイトル獲得の目は潰えたが最後まで諦めずに戦う次の第7戦は、10月7日(土)・8日(日)にチャン・インターナショナル・サーキット(タイ)にてシリーズ唯一の海外戦として開催される。
◆公式練習走行
前回第5戦富士では執念の1ポイント獲得でタイトル争いに踏みとどまっているDENSO KOBELCO SARD LC500。夏の3連戦最終章でシリーズの天王山となる第6戦は鈴鹿サーキットが舞台。
通常より大量ポイント獲得が狙えるため、タイトル争い生き残りの分水嶺となる分かれ目。公式予選はノックアウト方式(Q1、Q2)で、決勝は12時30分スタートのシリーズ最長距離の1000km(173周)で争われる。
約6時間の長丁場に渡って繰り広げられるスプリントバトルは、運や天候にも左右される場面が多く、難題克服に立ち向かえる総合力がチームに要求される真夏の伝統の一戦で今回が最後。ドライバー交代を伴うピットストップは最低5回が義務付けで、ウェイトハンディは現獲得ポイントの倍の数値となる72kgを搭載する。
このウェイトハンディであるが燃料リストリクターが2段階絞られ、実際搭載するウェイト重量は38kgとなる。
7月初め当地で行われた公式テストではセッション1で3番手、セッション4では4番手タイムをマークし、走りの相性は良い鈴鹿。DENSO KOBELCO SARD LC500とって最後の鈴鹿1000kmは今季タイトルを争う上で落とすことのできない重要な一戦であり、2005年以来の優勝を最後の鈴鹿で飾りたいところ。
J SPORTS「鈴鹿1000km」広告にはサードの今季LC500と2005年優勝のスープラが描かれるなど期待も高く、またチームの本拠地から近いため応援団も大挙して訪れ、力強い声援も受ける。
シリーズタイトル争い生き残りを懸けた天王山での大一番勝負の鈴鹿。8ポイント差で追うシリーズリーダーを捉え、タイトル防衛への道筋を大きく開くために、チーム一同、不撓不屈にランキングトップ奪回を狙っていった。
26日(土)午前中の公式練習走行は、朝方の雨の影響で路面はウエット。曇りで気温23度/路面温度27度と季節的には低めのコンディションのなか、9時20分から混走セッションが開始。
路面がウエットであることからピットイン作業の練習とウエットタイヤのベディングで最初に平手がコースイン。2周でヘイキと交代。次にふたたび平手がステアリングを握ってコースイン。
しばらくのインターバルの後に路面も乾いてきたことから7周目からはヘイキが柔らかめのドライタイヤを装着して、まずは1分52秒167のタイム。赤旗中断を挟んで硬めのタイヤでヘイキがフィーリングをチェック。1分50秒907と9番手タイムをマークした。
最終的に混走セッションでは12番手に。その後の10分間のGT500単独セッションでは平手が柔らかめのタイヤでアタックシミュレーションを行い公式練習走行を終えた。公式練習走行では合わせて24周を走行し、平手がマークした1分50秒237で12位に。サファリの時間は燃料を多く積んだ状態で走行。かなりの好ペースで走れるフィーリングでQ1への準備を順調に終えた。
◆公式予選
■Q1:平手がQ1でフルアタックできずに終わる
26日(土)午後は晴れ間も見え始め、気温31度/路面温度37度の高温コンディションとなった。残り8分ほどで今回ファーストアタッカーを任されたの平手がコースイン。
決勝での戦略をみて見据えて硬めのタイヤを装着して臨んだQ1。アウトラップ、2周目と丁寧にタイヤに熱を入れて少し時間をかけ過ぎたかに見えたところであったが、前走車との間隔を空けて調整しながら走行する平手。
WHの重さも感覚にズレを起こしていたのか4周目のタイムは1分49秒229のタイム。48秒半ば付近のタイムは出る見込みで次の周にアタックを懸けた平手であったが、コントロールラインで無情のチェッカーに。
平手はQ1で満足のいくフルアタックできずに不発に終わる結果、14位と最後列のスタートポジションから挽回を目指すこととなった。
◆決勝
■ウォームアップ走行
27日(日)10時55分から設定された20分間のウォームアップ走行では気温30度/路面温度46度と非常に暑くなり、スタートドライバーのヘイキが燃料を積んだ状態で、レース終盤に使用するであろう柔らかめのタイヤのベディングとユーズドの柔らかめのタイヤを装着して数周確認。
8周目から平手が中盤で装着する残りの硬めのマーキングされたタイヤを装着してチェッカーまで走行。短い時間ではあったが決勝への準備を9周に渡ってしっかりと行った。
■決勝スタート
第1スティント:ヘイキが2つポジションを挽回
27日(日)12時30分決勝スタート前は強い日差しが照りつけ残暑というより真夏の暑さに。気温30度/路面温度47度のなか、三重県警先導によるパレードランの後にGT500最後尾からDENSO KOBELCO SARD LC500を駆るヘイキが落ち着いたスタート。
10周を過ぎた頃より中位の集団がペースダウン。好ペースを維持するヘイキはライバル勢の最初のピットインまでに12位と2つポジションを挽回してみせた。
第2スティント:素早いピットイン~ピットアウトなどで8位にジャンプアップ
26周目を終えてヘイキを呼び戻しピットイン。素早いピット作業で平手を送り出す。交代した平手もアウトラップを頑張り、大きくジャンプアップ。数台をかわして32周目には9位浮上と、オーバーカット戦略で順位を争っていた周囲を短い作業で軒並みパスする好ピット戦略を見せた。
後続を引き離した所で42周目にSC導入となり築いたギャップが削られてしまうが、再開後に平手がふたたび引き離して8位にポジションを上げて57周を終えてヘイキと交代すべくピットインを行った。
第3スティント:ピット戦略とヘイキの猛追プッシュで4位浮上
平手のインラップのプッシュとアンダーカットのピット戦略が幸を奏し、素早い作業とヘイキのアウトラップの速さでコースには6位で復帰。空いたタイミングでの送り出しに成功し、ヘイキが上位陣を猛追して62周目に5位浮上と鬼神の追い上げを見せる。
どんどんと追い上げていく様子にコントロールラインを通過する度に歓声と拍手が沸き起こる。さらに手を緩めないヘイキが懸命にギャップを削って69周目には何と4位に浮上。そして、89周を終えて3位の23号車がピットインすると同時ピットインを敢行してピット争いに持ち込み平手にバトンタッチとなった。
第4スティント:平手が目まぐるしく変わる順位のなかで奮闘
2度目のステアリングを握った平手は、表彰台を狙って23号車を追いかける。戦略の違う19号車に先行許し5位に。94周目に2度目のSC導入となり前とのギャップがなくなるチャンスが訪れる。
ただギャップが削られたことで後続とも接近戦が展開されていく。102周目にSC解除後の104周目にHWの軽い12号車にかわされ6位に。106周目に同じくHWの軽い100号車にパスされ7位。
108周目23号車がペナルティで6位にアップ、109周目から12号車と5位争いのシーソーゲームと目まぐるしく順位がかわるなかで奮闘を見せる平手。ライバル勢がピットインを始めるなかで平手のペースが良いことからピットインを延ばす戦略をとった。
第5スティント:ヘイキがトップペースでクレバーに快走
好ペースの走りを続けた平手を121周を終えて呼び戻し、4回目のピット作業でも素早くヘイキを送り出すと4位で復帰して見せるチームワークを披露。トップペースで表彰台圏内を不撓不屈に目指すヘイキ。
このスティントからは柔らかめのタイヤを装着して一気に勝負に打って出たDENSO KOBELCO SARD LC500。追いすがる後続を引き離し、4位走行の19号車に迫り、138周目あたりから3位争いに持ち込んだ。
戦略の違う19号車は最後のスティントの給油量が多いと見込まれていたため余り無理をせずにプレッシャーをかけるのみで追い回すクレバーな走りのヘイキ。146周を終えて最後のバトンを平手に託した。
第6スティント:平手が死闘を繰り広げるも、まさかのコースオフで万事休す
最後のピット作業もミス無く素早く平手を送り出すと19号車をかわして3位に浮上する快挙で底力を見せた。だがHWの軽くペースの速い100号車が150周を超えたぐらいから急接近。
ここから10周以上に渡って3位争いの死闘が展開された。激しい駆け引きの攻防戦。粘る平手は巧みなライン取りで押さえ込んで3位を堅守。165周目に一旦抜かれたが抜き返す意地を見せたが、最終的に166周目のホームストレートで惜しくもかわされて4位に。
フィニッシュまで諦めずにプッシュを続ける平手であったが、168周目にペースが落ち19号車24号車の2台にかわされ6位に。100号車との死闘でタイヤを使い果たしたのかペースが上がらず苦しい状況に。そして、チェッカーは18時28分までの時間レースに切り替わり、あと残り3周となった169周目のデグナーカーブ出口にてまさかのコースオフ、ストップして万事休す。
結果、失意の13位完走扱いとなった。ドライバーポイントは獲得ならず(計36点)ランキング7位のまま、チームポイントでは1点を獲得(計50点)しランキング6位のままとなった。
残り2戦でフルポイント(42p)を獲得しても23号車が2位と6位になると届かない状況となり、自力タイトル獲得の目は潰えたが、昨年同様にチャンスは残っているので最後まで諦めずに戦う次の第7戦は、10月7日(土)・8日(日)にチャン・インターナショナル・サーキット(タイ)にてシリーズ唯一の海外戦として開催される。
◆コメント
ヘイキ・コバライネン
「手応えを感じていただけに結果は残念だ。自分もコウヘイもそしてチームも全力を尽くしたがこれもレース。立ち止まって悔やんでも仕方ないことなので、次に向かって進んで行くだけ」
「タイトル防衛には厳しい状況に追い込まれたけど希望も速さも失っていないし、我々チームの力強さを持ってすれば昨年のように逆転も不可能ではない。残り2戦でビックポイントを得られるように全力で攻めていくよ」
平手晃平
「予選14番手から3位争いをする所までチーム一丸となって戦いましたが、山本選手とのバトルでタイヤを使い果たしてしまい、残り3周という所でストップしてしまいました」
「毎ピット素晴らしい作業で送り出してくれたメカニックの気持ちに応えたかった!これは正直な気持ちですが、ゴールできなかったのは自分の判断ミスです。本当に申し訳なかったです。残り2戦、最後の最後まで諦めずに走ります。ご声援ありがとうございました」
総監督 佐藤勝之
「チームの本拠地である愛知から近いとあって大勢の方が鈴鹿に応援に駆けつけ熱いご声援を頂きまして、誠にありがとうございました。レースの結果こそ残念でしたが、ドライバー、メカニック、エンジニア、スタッフと皆が一丸となってチャンピオンチームらしい戦い振りをお見せできたのではと存じます」
「残り2戦、強い気持ちで全身全霊を傾けて最後まで戦い抜きたいと思います。引き続きご声援のほどよろしくお願い申し上げます」