ザウバーF1のチーム代表フレデリック・バスールは、2018年以降のホンダとの提携計画を白紙に戻したのは、マクラーレンとホンダとの関係が破綻した場合、ギヤボックスの確保に問題が生じるリスクがあるからだと語った。
今年4月、ホンダとザウバーは2018年からのパワーユニット契約が決定したことを発表、ホンダは2015年のF1復帰以来初めて、マクラーレン以外のカスタマーチームと提携することとなった。しかし昨年ザウバーのオーナーが変わり、今年に入ってチーム代表も交代になるなど、体制の変化があったことで、ザウバーは契約の見直しを行った結果、ホンダとの提携計画がキャンセルされたことが7月に発表された。ザウバーはその直後にフェラーリと新契約を結んだことを明らかにした。
新代表のバスールは、F1公式サイトのインタビューにおいて、ホンダとの計画を解消した理由について聞かれ、ホンダと契約する場合、マクラーレンのギヤボックスを使用することになるが、マクラーレンとホンダの関係が継続するかどうか確信が持てず、ギヤボックスの確保に懸念があったからであると説明した。
「ホンダには現在、信頼性とパフォーマンスの問題があるが、そのことはひとまず置いておこう。彼らがいずれ挽回するであろうことは分かっている。我々が一番心配したのは、ギヤボックス供給義務を確保できないかもしれないことだ」とバスール。
「我々には自分たちでギヤボックスを製造するリソースがない。だから外部と契約を結ぶ必要がある」
「ホンダと(パワーユニットに関し)提携する場合、マクラーレンと(ギヤボックス)契約を結ばなければならない。だがマクラーレンがホンダとの関係を継続するのかどうか、確信が持てなかった」
「もしかするとおかしな状況に陥るかもしれない。ホンダエンジンを積むことでマクラーレンにギヤボックスの供給を依頼したのに、マクラーレンが別のエンジンで走るといったことが起こり得ると思った」
「そういったシナリオを考え、私は確信を持つことができなかった。そのため、ホンダとの契約を“処理し直す”ことが、ザウバーにとって一番の課題となったのだ」
結局、現在フェラーリの1年落ちのパワーユニットを使用しているザウバーは、来年以降の新たな複数年契約をフェラーリと結び、最新スペックを搭載することとなった。
ホンダのパワーユニットを想定して来季マシンの作業が進んでいたのかと聞かれ、バスールは「私が決断を下す以前に、ザウバーはすでに2018年型マシンのデザインに着手していた」と答えた。
「だからこそ急ぐ必要があった。断念するプロジェクトに多額の予算を投入することを避けたかった」とバスール。
「デザインに関する作業はすでに進行中であり、(夏の)ファクトリー閉鎖時期が迫っていたので、すぐに決断を下す必要があった」
マクラーレンはホンダと組んで今年で3年目になるが、期待どおりにパフォーマンスが向上せず、苛立ちを募らせている。だがメルセデスとフェラーリにはマクラーレンへの供給の意思はなく、ルノーも供給チーム数を増やしたくないと発言している。