トップへ

プレミアムフライデー商戦の明暗分かれる 「家で過ごすサービス」が好調の一方、居酒屋は早く開店しても客が来ず

2017年08月29日 19:32  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

働き方改革の一環として政府の肝いりで実施されたプレミアムフライデー。早めの退社で消費の拡大も狙うが、月末の金曜に早く帰れるわけもなく、あまり普及していないのが実情だ。

そんな中、8月のプレミアムフライデーである25日に、ワールドビジネスサテライト(テレビ東京・放送同日)が東京都内の様子をレポートし、効果を検証。各企業はプレミアムフライデーに対応したサービスを展開しているが、2月の開始から半年を過ぎたいま、明暗が分かれているようだ。(文:okei)

「飲みに行くほど景気が良くないので…もう自宅に直行です」

居酒屋チェーンの「鳥どり」は、プレミアムフライデーに開店を2時間早め、生ビール半額のサービスで客を待つが、取材を受けた店舗では、この日午後5時前に訪れた客はゼロ。2月の開始当初は5万円の売り上げ増があったものの、その後客足は伸びず、早期営業を行う店を170店舗から73店舗に減らした。

そのほか、スシローやよみうりランドでは、プレミアムフライデーに実施していた特別サービスを、現在は取りやめている。東京・新橋駅前で50代くらいのサラリーマンに訊いてみると、

「(飲みに)行くほど景気が良くないので…もう自宅に直行です」

と苦笑いしていた。

6月のプレミアムフライデー推進協議会の調べによると、プレミアムフライデーの過ごし方で一番多かったのは「家でゆっくり過ごした」(57.8%)という答えだ。仕事で疲れた月末、わざわざどこかへ出かけるより家でゆっくり過ごしたいと思う人が多いのも頷ける。

それどころか、同協議会の調査では、早返りした人の割合は、2月は17%だったものが、7月は11.3%と下降線を辿っている。逆に言えば、元々帰れない人が8割以上だったのだから不公平感も大きく、尻すぼみ感は否めない。

ひと月頑張った自分へのご褒美、家族とDVD鑑賞するもよし

一方で、「家で過ごしたい」人が充実できるサービスを提供する企業は好調だ。洋菓子店の銀座コージーコーナーは、プレミアムフライデー限定のケーキを販売。価格設定はやや高めだが売れ行きは好調で、限定ケーキの売り上げは半年で2倍近くに伸びたという。

銀座コージーコーナーの広報担当は、

「ケーキというのは嗜好品ですので、ひと月頑張った自分へのご褒美ということで(購入する)。プレミアムフライデーと親和性の高い商品だと思っています」

と話す。

DVDなどのレンタル事業を展開するTUTAYAでは、プレミアムフライデー導入前の月末の金曜日に比べ、DVDのレンタル売り上げが5%以上増加した。プレミアムフライデーにレンタルを利用した客に、プレミアムモルツをプレゼントするキャンペーンが好評を得ている。このほか、宅配ピザのピザハットは、売り上げが約10%増となった。

「早く帰って子どもと会話ができるようになった」お父さん

新橋駅前でインタビューを受けた30代くらいの男性は、「家でゆっくりビデオでも見ようかなと思ってます。家族と一緒に」と答え、プレミアムフライデーの恩恵をこう語っていた。

「早く帰って、普段子どもとなかなか会話がないので、少しは会話ができるようになりました」

消費が大きく伸びなくても、こうしたゆとりが一番大切なことだろう。

レンタルDVDもケーキも、家族がいても1人でも、さらには「プレミアムフライデーなんて関係ない、早くは帰れない!」という人でも、開店時間に間に合いさえすれば楽しめるサービスだ。わずかでも不公平感を均す効果もあるかもしれない。そうした需要に応えられた企業が、プレミアムフライデーの恩恵を受けているようだ。