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NEET株式会社、追加メンバー募集の説明会開催 「この会社に入る意味はあるのか」など突っ込んだ質問も

2017年08月29日 18:12  キャリコネニュース

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社員全員がニートのNEET株式会社で、新たなメンバーを募集するための会社説明会が8月28日、都内で開かれた。2013年の設立以来、追加募集は初めてとなる。

会場には約70人が集まった。匿名で質問できる簡易のネット掲示板が用意された他、遠方居住者など会場に来られない希望者約80人には、動画の同時中継が行われた。

年に1度、「盛り上げ役としての代表取締役」を選出

同社は、ニート一人一人が「取締役」としてメンバーになる。仕事内容は各自で決定することができ、働くも働かないも本人任せだ。固定給は無く、事業で発生した儲けは全額、その事業を実施していた人に入る。同社会長で慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏は、

「これまでのメンバーは、結婚や起業、就職で社会に旅立つ人から、『やっぱりニート最高』と残る人まで様々。人生の通過点としてNEET株式会社を使ってもいいし、ずっといてもいい。模索する中で、新しい働き方や会社の在り方を見つけてもらえれば」

とのスタンスを強調した。

取締役就任を希望する場合は、毎年、一口3000円の議決権のない株を購入する。事業の儲けが会社に一切入らない分、運営に必要なサーバー管理費や公的機関への提出書類作成費などをこの代金で賄う。

説明会では新しい取り組みとして、取締役の中から毎年5人~8人、「取締役達のテンションを上げる盛り上げ役」である「代表取締役」を選出したいとの意向も発表された。「年に1度、AKB48の総選挙のような形で『カリスマニート』を選びたい」とのことだ。

説明会に参加した35歳男性「ニートの人と一緒に何か出来たら」

会の後半には、寄せられた質問に現役メンバーらが回答する時間が設けられた。「NEET株式会社に入る意味はあるのか」との質問に、メンバーの一人で「レンタルニート」「プラモデル制作代行」などを営む仲陽介さん(28)は、

「『レンタルニート』の開始初日、街頭に立っていたら『NEET株式会社の人ですか』と声を掛けられ、その場で取材された。会社名だけでも印象に残るし、注目してもらえる。ちゃんと商売をやりたいと考えている人にも、有名であることは武器になる。そういう面ではおすすめ」

と、自身の経験を語っていた。現在の収入は、レンタルニートで月1~2万円、プラモデル制作代行業が1個当たり2万5000円~3万円で、「メンバーとシェアハウスで生活する程度にはなんとか」稼げているそうだ。

この他、社内機密の保護体制や株の売買の可否などが聞かれていた。入社後、他の事業部とバッティングする事業を行いたい場合は、既存の事業部に入らず新たに立ち上げることも可能だ。バイトとの兼業も可能だが、雇用先企業で兼業が禁止されている場合は控えたほうが良いらしい。

生活保護受給者は、3000円を会社に寄付する形で取締役に就任できるよう工夫するという。詳細は事務局に問い合わせてほしいとのことだった。

説明会に参加した35歳の男性は終了後、キャリコネニュースの取材に対し「2013年の設立時には、興味を持ちつつも応募しそびれた。ニートの人と何か一緒に出来たら」と述べた。現在は就業中だが、取締役への就任を希望している。息子を誘って参加した女性は、

「素敵な取り組みだと思う。恥じることなく、堂々と胸を張って好きなことや出来ることに取り組むよう伝えていきたい」

と顔をほころばせた。特別な事情が無い限り、原則として全員採用する。10月上旬には新たな取締役が決定する見込みだ。