8月29日早朝、北朝鮮からミサイルが発射された。幸い、ミサイルによる大きな損害は無かったため公共交通機関も通常通り動き、いつもと同じように出勤する人がほとんどだったようだ。
しかし、勤務先の企業から安否確認の連絡が来た人は少数だったのではないだろうか。NTTレゾナントが8月28日に発表した「企業の防災意識と取り組みに関する調査」によると、Jアラート発生時の対応フローを定めている企業はまだ一部のようだ。
「Jアラートの通知が来た時、企業として対策を取るべき」は8割越え
調査は7月28日から8月2日にかけて、会社員や会社経営者・役員で、災害等発生時の活動業務を担当する人、もしくは防災システムを導入する立場の人を対象に実施。従業員数1000人以上の大規模企業550人、100人から999人の中規模企業552人、99人以下の小規模企業553人、合わせて1655人から回答を得た。
その結果、災害内容によって防災意識に差が生まれていることが明らかになった。地震、大雨、火災、テロ、4つの災害に関する意識を聞くと、地震は大規模企業も中小企業も7割~8割程度が「意識している」と回答した一方で、テロに関して「意識している」と回答したのは大企業で48%、中規模企業で33%、小規模企業で22%と低かった。
地震、大雨等の大規模自然災害や、テロなどの武力活動で甚大な被害が予想される際、国から緊急警報が出される。このシステム「Jアラート」の認知度を聞いたところ、企業規模に関わらず8割前後と高かった。6月下旬にテレビCMで周知が行われたことも影響しているのかもしれない。
「Jアラートの通知が来た時、企業として対策を取るべき」と考える企業は、大規模企業で87%、中規模企業で80%、小規模企業で81%あり、関心の高さが伺えた。
しかし、実際にアラート通知時の対応フローを定めている企業は少ない。避難方法や安否確認方法を既に決定しているのは、大規模企業で24%、中規模企業で17%、小規模企業で14%と、4分の1以下だった。全く考えていない企業もそれぞれ38%、45%、51%ほどあり、意識の高さと現実的な対策との間にはギャップがあると言ってよいだろう。
調査では、被災時の安否確認手段についても聞いた。安否確認システムを導入している大規模企業は74%、中規模企業で53%、小規模企業で30%と、企業規模が大きくなるにつれて導入が進んでいる。
小規模企業の54%は安否確認方法として電話を採用しているが、電話が通じなくなった際の代わりの連絡手段を決めているのは46%と、代替手段を決めていない企業が半数以上に上っていた。