第4戦ニュルブルクリンクを終え、次戦からシリーズ後半のフライアウェイラウンドを迎えるWEC世界耐久選手権。最高峰のLMP1クラスに参戦し、2014年以来のチャンピオン獲得を目指すTOYOTA GAZOO Racingは、9月1~3日に開催される第5戦メキシコに2台のトヨタTS050ハイブリッドで挑む。
トヨタは開幕戦シルバーストン、第2戦スパで連勝したものの、ル・マン24時間、第4戦ではライバルのポルシェに敗れ、現在マニュファクチャラーズランキングはポルシェと39.5ポイント差の2番手に甘んじている。しかし、1チーム2台が1ラウンドで獲得できる最大ポイントは44点であるため、逆転でのタイトル獲得はまだ十分に可能範囲だ。
また、ドライバーズランキングでは開幕2連勝を挙げた8号車トヨタの中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンの3名が、ル・マンとニュルブルクリンクで優勝した2号車ポルシェ919ハイブリッドのティモ・ベルンハルト、アール・バンバー、ブレンドン・ハートレーに次ぐ2番手につけているが、こちらも残り5戦で30ポイント差ということで逆転のチャンスは十分にある。
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ-マリア・ロペス組の7号車トヨタは、これまでの4戦中3戦でポールポジションを獲得するスピードをみせており、第5戦メキシコでも持ち前の速さを発揮して今シーズン初勝利を目指す。
そのメキシコ戦が行われるアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは標高2285mの高地に位置する。シリーズ中もっとも空気が薄いこのサーキットではダウンフォースの獲得が重要となるため、トヨタは2種類あるエアロパッケージのうち、よりダウンフォースを発生させるハイダウンフォース仕様のマシンでレースに臨む。
■可夢偉「第4戦ニュルブルクリンクより速さが増している」
「メキシコのレースを楽しみにしています。私にとってチーム代表として初めてのレースとなるので、好結果を残したいと思っています」と語るのは2017年8月付でTMGの新社長に就任した村田久武氏。
「東富士(研究所)とケルン(TMG)のスタッフは前戦ニュルブルクリンク以来、ハードワークでこのメキシコ戦、そしてその後の遠征戦へ向けTS050ハイブリッドの準備を進めて来ました」
「シリーズ後半戦のサーキットは我々の車両が得意とするコースであり、ドライバーズ、マニュファクチャラーズの両選手権制覇はまだ十分可能です。それだけに重要なのは、すべてのレースでできる限り多くのポイントを獲得することであり、メキシコでの我々の目標は明確です」
今シーズン、7号車トヨタのラインアップのなかでも飛び抜けた速さをみせている可夢偉は「メキシコは後半戦のスタートなので、良いパフォーマンスを示すことが重要ですし、マニュファクチャラーズ選手権争いのためにも多くのポイント獲得が必要です」とコメント。
「僕たちのクルマはニュルブルクリンクの時よりも速さを増していると思っており、上位争いができるはずです」と約1カ月半ぶりのレースに向けて意気込みを語った。
また、ドライバーズランキングでも2番手につけている一貴も「僕たちはまだドライバーズ、マニュファクチャラーズの両選手権タイトルを争っていますので、完璧なレースを戦い、2台揃っての表彰台獲得を目指します。そのためにも、可能な限りハードにプッシュして行きます」と打倒ポルシェの構えをみせる。
一方で、メキシコの印象については「昨年のレースで初めてメキシコを訪れましたが、レースの後もリラックスした時間を過ごし、あの国の雰囲気を本当に楽しむことができました。訪れるのに良い国というだけでなく、コースもとても面白いです」と語った。
WECフライアウェイラウンドの“開幕戦”となる第5戦は、9月1日(金)に各90分のフリープラクティスで走行がスタート。2日(土)に60分間のプラクティスと公式予選が行われたのち、3日(日)の現地時間12時(日本時間26時)から6時間の決勝レースが行われる。