WorldRX世界ラリークロス選手権でフォルクスワーゲンがワークス支援を行うペター・ソルベルグのチーム、PSRXに元ドイツ国内ラリー選手権で3度のタイトルを獲得した大ベテラン、ディーター・デッピングが加入。9月末のドイツ・ラウンドで3台目のマシンをドライブすることとなった。
フランス、ラトビアに続き開催されるドイツ・エステリングでのWorldRX第11戦は、シーズン最終戦の手前となる重要なラウンドとなり、もちろんフォルクスワーゲンにとっては是が非でも勝利をものにしたい地元の1戦でもある。
そのエステリングでの戦いに向け3台目の投入を決めたフォルクスワーゲンとPSRXは、ポロGTI RXスーパーカーのシートにドイツ・ラリー選手権で3度の王座獲得経験を持つデッピングを起用。現在、シリーズランキングでもワン・ツー体制を築いている、ヨハン・クリストファーソンとペター・ソルベルグへの強力なアシストを用意した。
現在51歳のデッピングは、国内ラリーのほかダカールラリーにも参戦。フォルクスワーゲンとともにキャリアを築いてきた。
今回のチャレンジに際して、デッピングは「(フォルクスワーゲン・モータースポーツの代表である)スベン・スミーツが僕に『WorldRXのドイツ・ラウンドに出る気はあるか?』と尋ねてきたとき、答えるのに時間はいらなかったよ」と笑顔で振り返った。
「世界選手権であるエステリングでのレースを本当に楽しみにしている。でも、とくにスタートでは彼らに大いなる敬意を示さないといけないね。レースに向けて準備を整え、エステリングでどんなマシンに仕上げていけるか本当にワクワクするよ」
「また、このコンペティションに向けてマシンを用意し、受け入れてくれたペター・ソルベルグと、チームのみんなにも感謝しないといけないね」
2001年以来、フォルクスワーゲンのドライバーとして働いてきたデッピングは、ラリーだけでなくサーキットレースの経験も持ち、2010年にはニュルブルクリンク24時間にも参戦。
そして記憶に新しい1台として、WRC世界ラリー選手権を席巻したポロR WRCの開発ドライバーを務めるなど、チャンピオンマシンの基礎開発に重要な役割を果たしている。その意味でも、ドイツ戦でドライブする現行のポロGTI RXスーパーカーは、ポロR WRCをベースとするだけに、デッピングにとっても勝手知ったるマシン、ということになる。
今回のデッピング起用を決めたVWモータースポーツ代表のスミーツは「地元のヒーローが世界選手権のグリッドに並ぶことを本当にうれしく思う」とコメントした。
「ディーターは長年フォルクスワーゲンのテストドライバー、そしてレーシングドライバーとして貴重な仕事を積み重ねてきた。彼はダカールチームの一員でもあり、無数のレーシングカー開発にも関わり、ポロR WRCでは都合12の世界タイトルを獲得するのに貢献してくれた」
「エステリングでWorldRXにデビューすることは、フォルクスワーゲンとしても彼のこれまでの素晴らしい仕事に感謝する方法のひとつなんだ」
今週末開催のフランス・ラウンドを含め、残り4戦となる2017年シーズンだが、これまでVWポロGTI RXスーパーカーは5勝を挙げてシリーズを席巻。ドライバーズ・タイトルは4勝のクリストファーソンを、1勝のソルベルグが35ポイント差で追う展開となっており、チームタイトルに至ってはPSRXが100ポイント以上の差でライバルたちを突き放し、独走体制を築いている。