8月27日、ベルギーGP決勝が行なわれた。気温は22度、路面温度は32度で、雲は多く強い陽射しが照りつけることはほとんどないが決勝前になって暖かくなり、雨の心配もない中での決勝スタートとなった。
予選でギヤボックストラブルに見舞われたジョリオン・パーマーは交換により5グリッド降格ペナルティで14番グリッド、ザウバーの2台も同様にギヤボックス交換でペナルティを受けた。
フェリペ・マッサは黄旗無視により5グリッド降格、ストフェル・バンドーンはパワーユニットの使用基数規定違反とギヤボックス交換で計65グリッド降格を科され最後尾グリッドからスタートする。ダニール・クビアトもパワーユニット交換で20グリッド降格を受け19番グリッドとなった。
大半はウルトラソフトを履き、15番グリッドのランス・ストロール以下はスーパーソフト、パスカル・ウェーレインだけがソフトでスタートに臨んだ。
上位勢はスムーズなスタートでポジションはそのままにルイス・ハミルトンが首位、2番手セバスチャン・ベッテル、3番手バルテリ・ボッタス、4番手キミ・ライコネン、5番手マックス・フェルスタッペン、6番手ダニエル・リカルドの順となる。
7番グリッドのニコ・ヒュルケンベルグはスタート加速が鈍く、フォース・インディア勢がターン1で襲いかかる。そこを大外からアロンソが一気に抜いて7番手まで浮上してみせた。オールージュの手前でフォース・インディアの2台とヒュルケンベルグが3ワイドになりフォース・インディア勢同士が接触、これでペレスが11番手まで後退した。
バスストップシケインでヒュルケンベルグがアロンソのアウトに並びかけてパス。しかし続く2周目のケメルストレートでアロンソが再びヒュルケンベルグを抜き返す。
その後ろからはエステバン・オコンも2台のトウを使って並びかけるがヒュルケンベルグが8番手をキープ。翌3周目のケメルストレートではヒュルケンベルグがDRSを使って易々とアロンソをパス。4周目にはオコン、6周目にはロマン・グロージャンが同じくケメルでアロンソを抜きアロンソは当初のポジション10番手まで後退する。
8周目、大観衆の前でフェルスタッペンがスローダウンしケメルストレートにストップ。「信じられないよ、言葉もない」とだけ無線で言葉を残してマシンを降りた。
9周目には中団勢でピットストップが始まり、12周目には首位ハミルトンが上位勢で最初にピットイン。翌13周目にボッタスもピットインしてともに1ストップ作戦の定石であるソフトタイヤに履き替えた。
ベッテルは14周目、ライコネンは15周目まで引っ張りソフトタイヤに交換して上位勢の順位に変動はなし。しかしライコネンはフェルスタッペンが止まった際のダブルイエロー区間で減速しなかったとして10秒ストップ&ゴーという極めて厳しいペナルティが科され、17周目にピットインしてこれを消化し7番手まで後退を余儀なくされた。
これで中団勢は5番手ヒュルケンベルグ、6番手オコン、8番手ペレス、9番手グロージャンとなり、10番手にはアロンソより1周早いピットインでアンダーカットしたマグヌッセン、11番手にはアロンソの1周後にピットインしてオーバーカットしたマッサがつけ、ピットストップに4秒を要したアロンソは12番手まで後退してしまった。
25周目にサインツにオーバーテイクされたアロンソは「突然パワーがなくなった」といってピットインしリタイアした。
25周目にペレスがピットインし、14周目にコースオフしながらグロージャンを抜いた際の5秒ペナルティを消化しながらタイヤ交換。2周後にピットインしたオコンをアンダーカットすることに成功する。
しかしこの戦略に不満のオコンはペレスに仕掛け29周目のターン1立ち上がりで並びかけていくが、オールージュ手前で幅寄せされて両者は接触。オコンはフロントウイングにダメージを負い、ペレスは右リヤタイヤがバースト。オコンは「一体何を考えているんだ! 2回目だ!」と激しく怒りを露わにした。
これでセーフティカーが導入され、全車がピットイン。ギャップが縮まり34周目にレースは再開となり、ベッテルがケメルストレートでハミルトンのアウトに並びかけていくが抜けず。
しかしその後方ではボッタスのトウを捕まえたリカルドがアウトからオーバーテイク。さらにその後方にいたライコネンも2台のトウを使ってインからボッタスを抜いて3番手リカルド、4番手ライコネン、5番手ボッタスの順となった。
中団は6番手ヒュルケンベルグ、7番手グロージャン、8番手マッサ、そして9番手にフロントウイング交換を強いられたオコン、10番手にサインツという順になった。
首位を守ったハミルトンはファステストを2周立て続けに記録してベッテルを引き離そうとするが、ソフトタイヤを履いたにもかかわらず「リヤタイヤの温度が上がってきた」と不安を訴える。
一方ベッテルはパワーユニットのSOCを切り替えプッシュを再開する。ハミルトンは温度が安定したというエンジニアの無線に対し「1人にしてくれ」と集中できるよう無線交信を拒否。
ベッテルは41周目にファステストラップを記録して追うが、ハミルトンも速いペースを維持し両者のギャップは1秒以内に縮まらない。終盤はハミルトンがベッテルを引き離し、トップで44周を走り切ってトップでチェッカードフラッグを受け今季5勝目一番乗りを果たした。
2位ベッテル、3位リカルド、4位ライコネン、5位ボッタス。中団勢も最後まで順位は変わらずサインツまでがポイントを獲得。最後尾スタートのバンドーンは本来の速さを発揮することなく14位でレースを終えた。