2017年08月27日 08:03 弁護士ドットコム
自転車で歩行者とぶつかってけがを負わせたにもかかわらず、そのまま立ち去ったとして、高知市在住のパート従業員の女性が8月上旬、高知公安委員会から自動車の運転免許停止処分(180日間)となった。
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報道によると、パート従業員の女性は今年1月、高知市の路上を自転車で走行していたところ、歩行者の高齢女性とぶつかって転倒させて、脚の骨を折るなどの重傷を負わせた。しかし、そのまま立ち去ったとして、過失傷害と道交法違反の疑いで今年6月に書類送検された。すでに罰金刑が確定しているという。
高知県では、自転車の交通事故で、自動車の免許停止となるのは初めてだそうだ。今回のように、自転車の事故にもかかわらず、自動車の免許停止になるということに驚く人もいるかもしれない。どんな場合に免許停止となるのだろうか。山田訓敬弁護士に聞いた。
どのような場合に「自動車」の免許が停止されるのか。
「そのルールは道路交通法103条に規定されています。この規定のうち、特に自転車の運転との関係で注意をしなければならないのは、1項8号です。
103条1項8号には、『免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき』と規定されており、これに該当する場合には、免許取消処分や免許停止処分をすることができるとされています」
これは「自動車」についての話で、「自転車」については書いていないのでは?
「確かにこの規定は、自転車の運転について、直接定めたものではありません。しかし、本文にあるように、自転車を運転してひき逃げをする人や、大量に飲酒して酩酊状態となっているのに自転車を運転するような人等は、交通ルールを守る意識を著しく欠いています。自転車も道路交通法の『軽車両』に該当するため、道路交通法による規制を受けることになります。
このような交通ルールを守る意識がない人は、自転車ではなく、自動車を運転中にも法令に違反する危険な行為に及ぶ可能性があり、自動車の運転を許すべきではないケースも十分に考えられます」
「自転車」で交通ルールを守らないのであれば、「自動車」でも危険な行為をするだろうと推測されるということか。
「はい。各都道府県公安委員会が、自転車運転中に法令に違反する行為をした人について交通ルールを守る意識が欠けており自動車でも同じように危険な運転をする可能性があると判断した場合には、法103条1項8号に該当するとして自動車の免許停止処分をすることがあります。ですので、自転車を運転する際も、交通ルールをしっかりと守り、安全運転を心がけましょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
山田 訓敬(やまだ・くにたか)弁護士
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、個人の交通事故や遺産相続の分野にも力をいれている。特に交通事故事案では、一人でも多くの被害者のお力になりたいとの思いで有志の弁護士らで福岡交通事故相談ダイヤル(無料)を立ち上げその代表を務めています。交通事故相談ダイヤルはhttp://jikosoudan.info/
事務所名:弁護士法人山田総合法律事務所
事務所URL:https://www.yamaben.com/