トップへ

浅利陽介が語る、チームの中でのポジション 「『コード・ブルー』の箸休めになれば」

2017年08月27日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 現在放送中の月9ドラマ『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系/以下、3rd season)が、好調だ。同ドラマは、2008年7月に日本で初めてドクターヘリをテーマに取り上げた医療ドラマの続編。3作目となる今回は、ドクターヘリの専門研修を終えて一人前のフライトドクターになった、藍沢耕作(山下智久)、白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、藤川一男(浅利陽介)、そしてフライトナースの冴島はるか(比嘉愛未)が、新たにフライトドクター(ナース)を目指すフェロー(ナース)たちへの指導を通じて、さらに成長していく模様を描く。


参考:戸田恵梨香が語る、『コード・ブルー』との再会「7年経ったからこそ、成長が如実に出る」


 2010年に放送された2nd seasonからおよそ7年の時を経て、放送が始まった3rd season。リアルサウンド映画部では、藤川一男役の浅利陽介にインタビュー。7年間での変化や、撮影秘話、自身にとって『コード・ブルー』とは一体どんな作品なのかなど、じっくりと語ってもらった。【インタビューの最後には、チェキプレゼント企画あり】


■「4人は僕にとって、友達でもあり、戦友でもある」


ーー7年ぶり、3回目の『コード・ブルー』ですが、撮影や現場の雰囲気はいかがですか?


浅利陽介(以下、浅利):1st season、2nd seasonは、まったく余裕がない状態で撮影に挑んでいました。医療シーンの撮影がとにかく大変だったし、もっといい芝居をしなきゃとか色々なことを考えてしまって……。でも3rd seasonは、顔なじみのスタッフの方が多いので、純粋に楽しんでいますね。先輩たちが今まで現場でやってくれていたことを、今回は僕ら5人がやっている感じです。率先してコミュニケーションをとったり、場を和ませたり。でも、そこまで意識せずに普段通りにやって、決めるところだけビシッと抑えるというスタンスです。あまり気負い過ぎると後輩たちやスタッフさんたちに煙たがられちゃうから(笑)。多分フェローのみんなもリラックスできているのかな、と。


ーーでは、この7年間で最も変化したなと思うことは?


浅利:いい意味で、あまり考えなくなりましたね。こんなお芝居をしようとか、あのセリフの時はこんな顔をしようだとか、僕はよく考えるんですけど、3rd seasonになってからは、すべてその場においての感覚で動いています。様々な現場を通して、事前にプランを立ててお芝居をするよりも、相手との間で自然に生まれた感性を大切にした方が面白いということに気づいたんですよね。だから、現場でうるさいですよ、僕(笑)。


ーーなるほど。藤川(一男)の奥さんである(冴島)はるか(比嘉愛未)との関係性を築く上でも、自然に生まれた感性を大切にしているのでしょうか?


浅利:そうですね。僕からは「ここでアイコンタクト」しようだとか、色々提案はしています。でも、特には二人で話し合うっていうことはないですね。その場の空気でうまれたことを、僕がアドリブで演じて、まなみー(比嘉愛未)がそれをどう返してくれるのかを楽しんでいます。あえて本番でリハとは全く違うことをやって、まなみーを困らせるっていう……(笑)。だけど、それが意外にいいリアクションになることもあるんですよ。あとは、監督や演出部からヒントをもらって、そこから膨らませていますね。


ーーなんだか、実際の浅利さんも藤川に近いんですね。


浅利:そうですね、どんどん寄せていってますね。いつも何かしら喋ったり、遊んだりしています。たとえば、監督や演出部の方が、(新垣)結衣ちゃん、(戸田)恵梨香ちゃん、まなみーの女性陣に指導している時、それが終わったなというタイミングでこそっと「低い声で僕に“いくぞ”と言ってください」っていうどうでもいい演出をお願いして、「なんでだよ!」って総ツッコミを入れられてますね(笑)。元々、僕自身と距離感はすごく近い役だと思います。現場では僕だけでなく5人みんな自然体で自由なので、時には何にも考えてなかったり、顔が無になってたりすることもあります。それを誰よりも察知して「今、オフってるね」って指摘するのが、結衣ちゃんです。


ーードラマ内と実際の5人の関係性も似ていますね。


浅利:ドラマ内ほど5人のキャラが立っているわけではないですけど、近いですね。付き合いも長くなってきたので、4人は僕にとって、友達でもあり、戦友でもあるという感覚です。あと、全然余談ですが、実は着用しているシューズはそれぞれ自分で選んだものを履いているので、足元を見れば実際の5人の好みがわかりますよ。


ーーそうなのですね、チェックしてみます。では、藤川というキャラクターはこの7年間でどう成長したと思いますか?


浅利:(冴島)はるかと結婚して、子供ができたという部分では成長と捉えることもできます。でも、中身は何も変わってないですからね(笑)。相変わらず、はるかにも怒られてますし。だから、男性として成長するのは、これからなのかな、と。


■「気持ちのスイッチングは意識していますね」


ーーフライトドクターとしては着実にステップアップしている藤川ですが、役作りで7年間の歳月を意識していることはありますか?


浅利:場数を踏んでいるため、藤川はフライトドクターとしての経験値も増えています。そこは意識していますね。たとえば、血が噴き出してきても動揺しないだとか、1st seasonや、2nd seasonよりも全体的にリアクションを小さくするように心がけています。それと思わずクスッと笑ってしまうような、そんな地味な面白さを狙っていますね(笑)。あと、実は藤川の身だしなみからも成長が見られるんですよ。フェロードクターだった頃は、とにかく要領が悪い劣等生だったために、今の灰谷(俊平/成田凌)のようにポケットの中身がパンパンに詰まっていました。でも、3rd seasonになってからは1本のペンにボールペン、ライト、タッチパネル用のペンなどが備わっている、機能性が充実したものを身につけています。そのため、必要最低限のものだけを身につけているので、ビジュアルがスッキリしているんですよ。


ーー細かい部分にも気を使っているのですね。9年間藤川を演じていますが、シリーズを通して浅利さんが最も印象に残っているシーンやセリフは?


浅利:初フライト時の「俺に行かせてください」かな。あのシーンは、今だに鮮明に覚えてますね。あとは2nd seasonで、黒田(脩二)先生(柳葉敏郎)に電話して、「僕、フライトドクターやめません」っていうセリフは印象に残ってます。


ーー初フライト時のシーンが思い出深いということですが、実際にドクターヘリには乗っているのですか?


浅利:乗ってます。


ーー酔いますか?


浅利:全然。実際に医療用のヘリコプターを使用しているので、揺れがないんですよ。普通のヘリコプターよりも遥かに安定しています。結衣ちゃんは「高いのが怖くなった」って言ってましたけど、僕は平気なので楽しんでます。でも言われてみれば、ちゃんとは乗ってないですね。グッて上がって、位置調整して降りるっていう感じなんですよ。


ーーそうなんですね。実際に医療現場にも足を運ばれたとのことですが、その際に何を感じましたか?


浅利:お医者さんって、命を預かる仕事じゃないですか。だからこそ、患者さんに感情移入しすぎてしまうとやりにくいんでしょうね。あまり接点を持たないで、適切な距離感を保っている印象を受けました。そうじゃないと、オペのときにあんなにザクザクと切れないですよ。整形外科の先生という役柄なので、実際に骨盤骨折のオペを見させていただいたんですが、想像以上にエグかったです。でも、先生方にとってはそれが日常なので、手術という作業だけに集中して、淡々とこなしている感じでしたね。人だと思って切ろうとすると、迷いが生じてしまうんじゃないかな。


ーー浅利さんも藤川を演じる上で、患者さんとの距離感は意識していますか?


浅利:藤川は、臆病で迷いが多い外科医なので、人を切るときに躊躇はします。でも、どこかで切り替えてるのかな、と。患者を人として扱っている藤川と、助けるためには患者を物体として見る藤川、その気持ちのスイッチングは意識していますね。


■「各話ごとにメガネが微妙に変わってるんです」


ーーそんな藤川の今後の見どころは?


浅利:藍沢(耕作)先生や、白石(恵)先生はじめ、真面目な医療従事者たちが集まるチームの中で、僕のポジションは笑いだと思っているので、緩さを求められるシーンでは存分に遊んでいこうと思っています。『コード・ブルー』の箸休めになればな、と(笑)。あとは、そんなおちゃらけた藤川が、患者と向き合うときには真剣になるというギャップですかね。でも藤川より、ほかにもっとドラマの見どころはありますよ。藍沢の胸筋がすごいとか……(笑)。本当にみんないい芝居するんですよ。あ……、メガネ! 各話ごとにメガネが微妙に変わってるんです。深い理由はなく、単純にオシャレを楽しんでいます。監督と一緒に30種類くらいある候補の中から、3つ選んだので、ぜひ注目していただきたいですね。


ーーでは最後に、自身にとって『コード・ブルー』とは役者人生においてどういう作品かを教えてください。


浅利:二十歳になって、転機になった作品ですね。役者としても様々なことを学びました。受けるだけじゃダメだ、と。自分からも演出をして、プランを発信していかなくちゃ、と気付かされましたね。泣かなきゃ終わらないだとか、面白くないとカットされるだとか、厳しい世界を初めて知った作品だったので、役者としても人としても成長でき、強くなれました。(取材・文=戸塚安友奈/写真=大和田茉椰)