8月26日、スーパーGT第6戦鈴鹿の予選終了後、鈴鹿1000kmの“前夜祭”が開催され、これまでの鈴鹿1000kmの歴史を彩ったグループCカーたち、そして2018年からスタートする鈴鹿10時間に向けたGT3カーたちのデモランが行われた。
鈴鹿1000kmは、長い歴史のなかで全日本耐久選手権/全日本スポーツプロトタイプカー選手権として開催された時期や、1992年にはスポーツカー世界選手権として開催されるなど、2006年からスーパーGTの一戦になる前までは、さまざまなシリーズに属したこともあった。
そんな鈴鹿1000kmの歴史をたどることができたのが、今回の前夜祭の第一弾のイベントとなる『モンスターたちのSUZUKA 1000km ~驚愕のプロトタイプカー~』だ。鈴鹿に持ち込まれたのは1992年のトヨタTS010、ニッサンR92CP、そして80年代から90年代にかけて戦ったポルシェ962Cだ。
トークショーには、TS010をドライブする関谷正徳、R92CPをドライブする星野一義も登場。続いてポルシェ962Cを交えてデモランが行われた。ポルシェの乾いたエキゾーストノート、そして1000馬力以上と言われたR92CPのVRH35Zエンジンのサウンド、当時のF1と同じ3.5リッターNAのV10エンジンを積んだTS010という異なる3種のエキゾーストノートが鈴鹿のグランドスタンドに響き渡ると、場内からは大きな拍手が送られた。
そして、今回第3ドライバーとして参戦し、大きな注目を集めているジェンソン・バトンと小林可夢偉、そしてau TOM'S LC500の中嶋一貴という3人の元F1ドライバーによるトークショーに続いて登場したのは、GT500クラスでS Road CRAFTSPORTS GT-Rを駆る千代勝正と、その千代が駆り2015年のバサースト12時間を制したニッサンGT-RニスモGT3、そして2018年から世界的にリリースされるホンダNSX GT3という2台のGT3カーだ。
これは2018年から、鈴鹿1000kmの歴史を受け継いでスタートする鈴鹿10時間を見据えてのイベント。世界各国からGT3の強豪を招き、日本勢と激突するレースが予想されているが、そのレースの雰囲気を少しでも味わおうというものだ。
本邦初公開となるホンダNSX GT3は、研究所で開発用として用意されていた1台だが、すでに25日に武藤英紀がドライブしていたものの、前夜祭でドライブすることになったバトンは今回がぶっつけ本番。トークショー内では、バトンや可夢偉、一貴にも鈴鹿10時間の参戦の話題が振られたが、「興味はあるけど、GT3にはまだ乗ったことはないんだ。さっき少しだけシートに座ったけど、やはり感覚がGT500マシンとは違うよね」とバトン。「まずは今回のスーパーGTに集中していきたいんだ」としつつも、大いに関心がありそうな様子だった。
「参戦を決めるかは、GT3をドライブしてから……」というバトンだったが、途中千代のGT-Rとともにランデブー走行を披露。可夢偉、一貴も「いいですね!」とNSX GT3を観察するシーンもあったが、走行を終えるとバトンも「とてもいい経験だったよ! NSX GT3はクルマとしてはすばらしいね」とご機嫌な様子だった。
「来年は活躍するだろうね」と自身の参戦についてはやはり明言はなかったものの、可夢偉の「僕は出るつもりですよ」という発言には心を揺さぶられていた様子。今季はGT500での対決となった可夢偉とバトンだが、来季はGT3での鈴鹿対決が見られるかもしれない。