ある意味、ベルギーGPで注目を集めていたドライバーはジョリオン・パーマーだった。8月に行われたハンガロリンクで行われたテストで、ルノーはレギュラードライバーを走らせず、代わりに元F1ドライバーのロバート・クビカを起用したからだ。
ベルギーGPからの交代も噂されていたが、チームはベルギーGPもこれまで同様、パーマーを起用した。
パーマーがハンガリーGP後にクビカとの交代を覚悟していたと思われるのは、夏休み期間中にキリマンジャロに登頂していたことでもわかる。
「何もせず、家でゴロゴロしているぐらいなら、いつもと違う体験をしようと思った」というパーマーだが、標高5895mというアフリカ最高峰の標高に加え、夏でも山頂付近は「体感としてはマイナス44℃だった」というほど過酷な登頂で、契約によってシーズン中は危険なスポーツを禁止されているF1ドライバーとしては異例のチャレンジだった。
それでも、パーマーが山頂を目指したのは「山に登れば、下界との接点がいっさいなくなるから、何にも邪魔されず、頭の中を完全にスイッチオフできるから」だった。
無事、ベルギーGPに戻ってきたパーマーだが、残されたチャンスはイタリアGPまでの2戦で、それまでにチームが望む結果を残せない場合は、クビカとの交代もありうると噂されている。
だが、ベルギーGPとイタリアGPは、どちらもパワーサーキット。非力なルノー・エンジンには不向きなコースだ。
記者会見で「パワーユニットのアップデートは助けになるか?」と質問されたパーマーは「アップデートは信頼面で、しかもソフトウェア!」と笑っていた。だが、パーマーは「昨年のいまごろも、いろいろ噂されたけど、僕はきちんと結果を残した(9月末のマレーシアGPで初入賞)。だから、今年もやれるはず」
アフリカ最高峰のキリマンジャロ登頂に成功にパーマー。後半戦は、モータースポーツ最高峰のF1に残留するというチャレンジに挑もうとしている。