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NOW ON AIR×杉山勝彦が語る、声優アーティストの強み「バラバラだからこその調和が存在する」

2017年08月25日 19:03  リアルサウンド

リアルサウンド

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 声優ユニット・NOW ON AIRが初めて声優に挑戦した長編アニメ映画『きみの声を届けたい』が公開された。同作は、湘南を舞台に“声の力”をテーマとして高校生たちの青春を描いた劇場用オリジナルアニメーション。『時をかける少女』『ちはやふる』のマッドハウスが制作を手掛け、2016年8月にオーディションを勝ち抜いたNOW ON AIRの6人と三森すずこがメインキャストの声優を務める。


 リアルサウンドでは、NOW ON AIRと同作のエンディング主題歌「キボウノカケラ」の作曲を務めた杉山勝彦とのインタビューを企画。『きみの声を届けたい』や『キボウノカケラ』の制作プロセスをはじめ、声優デビューをした心境、さらに音楽プロデューサーとして、これまでにAKB48や乃木坂46、嵐といったグループに楽曲を提供してきた杉山から見たNOW ON AIRの魅力など、映画と音楽がクロスオーバーするトークをたっぷり語ってもらった。(編集部)


参考:裏方に徹さず表に出る場所を作るべき? Void_Chords 高橋諒と考える“音楽作家の在り方”


ーー約3000人が応募した『キミコエ・オーディション supported by ファミリー劇場』に合格した6人によるグループですが、まずはどんな声優・アーティストを目指してこのオーディションに応募していたのかを教えてください。


田中有紀(以下、田中):小さい頃から演じたり歌ったりすることが好きで、アニメも好きだったので、将来は両方に関わるお仕事に就けていたらいいなと思っていました。中学生になってからは声優さんを目指すようになり、高校3年生のときにこのオーディションを知り、「ラストチャンスだ!」と母を説得して臨みました。


神戸光歩(以下、神戸):私も小さいときからとにかくアニメが大好きで、アニメに携われる職業に就きたいと考えていました。学校で友だちや先生から「声が変わってるね」「よく響く声だね」と言われて、はじめて「声優」という職業を意識するようになり、このオーディションに応募しました。


片平美那(以下、片平):小さい時からアニメを見ながら「アニメの世界に入りたい!」と思っていました(笑)。AKB48さんのようなアイドルも好きでした。そんななかでμ’sさんのようなアーティストの方々が活躍されるのを目の当たりにして、「歌って踊れる声優」さんに衝撃を受けましたし、まさに映画とCDでデビューが出来る『キミコエ・オーディション』は魅力的で迷わず受けました。


岩淵桃音(以下、岩淵):昔からアニメが好きでしたが、アニメの中の声優さんも同じくらい好きで。私も現実ではできないようなことをアニメの世界の中で体験したいと声優さんに憧れていました。アーティスト活動もしたいと思っていて、今回のオーディションはやりたいこと全ての夢が叶うチャンスだと思って応募しました。


鈴木陽斗実(以下、鈴木):私は元々楽器をやっていて、音楽系の大学にも進んでいますが、そこで周りのレベルに圧倒されてしまい、漠然とした日々を過ごしていました。昨年、趣味のカラオケに行った時にたまたまオーディションの広告を見つけて、興味が湧いて応募しました。


飯野美紗子(以下、飯野):幼稚園のころは声を使った仕事に就きたいと思っていて、アナウンサーを目指していました。小学生のときはアニソン歌手を目指していたのですが、次第に声優さんが歌う楽曲やキャラソン・挿入歌の魅力に惹かれるようになって「声優じゃなきゃ歌えない歌もある」と気付いて。音楽が重要になっている『Angel Beats!』を好きになったこともあって、声優になれたら自分の表現の幅はかなり広がるんじゃないかと思って、いろいろなオーディションを受け続けたんです。でも、全部最終審査止まりで。自分の中で20歳になるまでに結果を出さなければ声優を諦めようと思って、最後に受けたのが『キミコエ・オーディション』でした。


ーーラストチャンスを見事掴み取ったわけですね。ちなみに、どうして普通の歌手ではなく「アニソン歌手」になりたいと思ったんですか?


飯野:アニソンに興味を持ったきっかけはYUIさんの「Rolling star」(アニメ『BLEACH』主題歌)だったのですが、元々好きなアーティストの楽曲が、アニメ映像と一緒になった時に新たな価値が生まれているのを感じて、自分もこんな形で歌ってみたいと思ったんです。


ーーなるほど。オーディションを経て結成されたNOW ON AIRも、8月7日にめでたく1周年を迎えました。6人の絆も深まったと思うのですが、この1年で印象的なエピソードをそれぞれ教えてください。


飯野:私は最初のレコーディング作業が一番強く印象に残っています。ずっと歌手になりたいと思っていたので、他人の曲をカバーするのではなく、NOW ON AIRのために頂いた曲を自分たちで作り上げていく作業が楽しくて仕方なくて。「この声が届きますように」のレコーディングが、その幸せを一番噛み締めた日でした。


鈴木:私はMVの撮影が印象に残っています。「この声が届きますように」のMVのドラマパートはスタジオの中のグリーンバックで制作されています。小さくなってしまったという設定の私たちが「ビルを見上げるシーン」とか「マイクに登るシーン」とか、すべて想像しながら演じるというのは初めてで戸惑いましたが、自分たちの表現力が広がるいい機会にもなりました。2ndシングル「キボウノカケラ」のMVは、石岡第二高校で撮影させていただいて、みんなで制服を着てのロケは楽しい思い出です。


岩淵:私も同じくMVのことなんですが、曲の雰囲気を表情や行動で見せるのがすごく難しいなと感じた記憶が強く残っています。ストーリー仕立てになっている部分は、どう動いたら歌詞とマッチするかが難しくて。


片平:私は『きみの声をとどけたい』の配役が発表されたとき。最初にこの作品の台本を渡されたときにはまだ自分の役を教えていただいていませんでした。読みあわせが一通り終わってから全員に青い封筒が渡されて、そこにはキャラクターの顔と役名、そしてそれぞれの名前が書いてあって「この子が私のところに来たのか!」という嬉しさとプレッシャーが忘れられません。


神戸:初めてのアフレコですね。ずっとテレビや動画で見ていたブースに自分が足を踏み入れて、カバーの付いたマイクの前に立った時に「やりたかったことができるんだ」と感じてすごくワクワクしたことを覚えていて。めちゃくちゃ緊張もしましたが、この時間を噛み締めようという気持ちのほうが強かったと思います。


田中:私は徳島で開催された『マチ★アソビ』の「マチ★アソビ RUN」に参加したのが思い出に残っています。みなみー(片平)とみっちゃん(神戸)と私で走ったんですが、沿道のみなさんから「頑張ってください」と声をかけていただいたりして。いつもは一方的に発信するだけなのに、このときは一緒に何かを作り上げている感じがして嬉しかったです。


ーーありがとうございます。あと……もうちょっとリラックスして話していただいても大丈夫ですよ(笑)。


杉山勝彦(以下、杉山):ほんと、みんなすごく真面目すぎてビックリしてます。どこにもバツを付けられないくらいの回答で、「ホンマかいな!」って思わず突っ込みたくなる(笑)。


メンバー全員:(笑)。


ーーではここから、楽曲の話を訊かせてください。映画『きみの声をとどけたい』のエンディング主題歌「キボウノカケラ」は、結城アイラさん作詞、杉山勝彦さんが作曲・編曲。楽曲は杉山さんが各所でみせる“らしさ”も効きつつ、Dメロ以降のアレンジが新鮮です。楽曲を制作するにあたって、制作側から挙がったテーマなどはあったのでしょうか。


杉山:僕が最初に彼女たちに提供したのは、1stシングルのカップリング「風が吹いた」なのですが、そのときには自分のこれまでの楽曲を聴いていただいたうえで、その風合いがマッチするということで声を掛けていただいたんです。そのレコーディングのときにメンバーの皆さんにはお会いしていて、「ほんとにピュアな子たちだ」という印象を受けました。今日みたいにキラキラしている衣装でもなかったし。


飯野:すっぴんでした。


神戸:たしかジーパンにトレーナーでした(笑)。


杉山:そうそう。しかもレコーディングで緊張していたから、表情が鬼気迫る感じで。真摯な思いや一生懸命さも感じたし、チーム全体がどこに向かっているかもハッキリ伝わってきたんです。で、今回のお話をいただいたときに「風が吹いた」がNOW ON AIRの雰囲気にマッチしたと言っていただいて。今回もその延長線上でありつつ、もう少し疾走感もある曲を、というリクエストを貰いました。


ーー杉山さんの提供曲だと乃木坂46「君の名は希望」あたりに近い質感を覚えたのは、同じような“透明感”があったことも影響していたり?


杉山:今日みたいな格好を見たら、もう少し派手でもよかったかなとも思ったりしますけど、スタジオで会ったときは「こんな良い子たちが芸能界に入ってしまって大丈夫か……」と心配したくらいですから(笑)。


ーーみなさんは「風が吹いた」を受け取ってみて、どういった印象を持ちましたか?


飯野:「歌いたかった曲が来た!」という感じでした。この曲は歌いやすいし、聴き手としても好きな曲なので、「本当にこれを私が歌っていいの?」と嬉しくなりました。


鈴木:自然とカラダに入ってくるというか、歌えば歌うほど愛が溢れてくる、不思議な魅力がある曲だと思いました。


岩淵:私の場合、電車に乗っている時にデモの音源が送られてきたんですが……受け取って聴いた瞬間、一人で「ウェーイ!」って。


他のメンバー:怖い!


杉山:えっ、どういうこと?


岩淵:実際に声に出しちゃったんです。向かい側に座っている人にも聴こえるくらいに。


ーー岩淵さんはそういう一面もあるんですね(笑)。それくらい驚くクオリティだったと。片平さんはどうでしょう?


片平:私は「あっ……好き……」と思って、お母さんにすぐ報告しました。


神戸:私、元々カップリング曲って「何となく良さげなバラードが入っている」という勝手なイメージがあるんですけど……。


杉山:リラックスした途端、急に毒づき始めたね(笑)。


神戸:でも、「風が吹いた」はそんな決めつけをふっとばすくらい、「これが表題曲でもおかしくない!」と興奮したのを覚えています。


田中:私も「えっ、カップリングこれなの!?」って興奮して。Dメロの部分がすごく好きで、みっちゃんにすぐ連絡して「最高だわ」と語り合っていました。


ーーちなみに杉山さんは、6人の声質について、どのような特徴があると分析しますか?


杉山:6人とも、レコーディングされた音源も普段の話し声でさえも、それぞれの声が立っていて面白いんですよ。普段はアイドルグループで声を揃えるようにすることが多いから、違った魅力を感じてめちゃくちゃ楽しいです。


ーーユニゾンしていても、それぞれのソロくらい声が立っているというか。


杉山:そう。重なっていてもそれぞれの声がわかるんです。それについては一つ印象に残っているエピソードがあって。「風が吹いた」の製作時、ランティスの木皿(陽平・μ’sのプロデューサーとしても知られる)さんが最後のバランスを取るときに、「全体のバランスはこれでもいいけど、このあたりをもう少し足すとNOW ON AIRの潤うべき声になる」と解説してくれて。その最後のひとチェンジでめちゃくちゃ見違えるように良くなったのに感動しました。


メンバー全員:へえー!


杉山:ほんと、あんなにみんなの声を聴いてくれている人はいないと思うよ。声質がバラバラだからこそある「調和」というのが存在するという、僕が知らない分野だからこその学びもありました。


ーーその経験はやはり「キボウノカケラ」にも活きたのでしょうか。


杉山:そうですね。バラバラなものを作ることも出来るんですけど、そうすると「なにがNOW ON AIRらしいのか」が分からなくなると思うんですよ。かと言って保守的なものをやるだけではなく、一つ一つ未来の見えるようなものを作ろうと思っていました。それと、言葉をハッキリ歌うようなメンバーが多いので、その特徴がハッキリ活きるように階段のフレーズを多くするなど、考えた部分はあります。


ーー確かに、階段的なフレーズが多くてキャッチーな印象を受けましたが、彼女たちの声ありきのものだったんですね。ほかにもNOW ON AIR曲だからこそできた挑戦というのはありましたか?


杉山:ピアノが骨格になっている曲は今までも沢山作らせていただいていたのですが、「どういう変化を付けたら彼女たちらしくなるか?」というテーマがあって。それを木皿さんに相談しながら、木管やシンセを入れるなど、いつもはやらないようなトライをしています。


ーー確かに、木管の音色は新鮮ですね。せっかくなので、メンバーが考える「キボウノカケラ」の聴きどころも教えてください。


飯野:私は落ちサビのソロをいただいているので、そこが特に一押しです。レコーディングのときは「可愛さ3割増しで! いや、もっと!」と3割増し続けていて、いつもよりも可愛さ多めの曲になっているんですけど(笑)、ライブだと歌い上げる感じになっているので、その違いも含めて聴いてほしいです。


鈴木:私のお気に入りはAメロですね。可愛くて爽やかさもあって好きですし、振付も演技をするような振りが多くて面白いんです。


岩淵:私はイントロのキラキラした感じが好きです! 「ここから何かが始まるんだ」とワクワクする感じで。


ーー歌が始まるまでのイントロの長さも特徴的ですもんね。片平さんはどうでしょう?


片平:私はサビの<真っ青な空にかざして 誓った言葉は>のところが好きです。何回聴いても言葉では表せないくらいグッときます。


神戸:私はソロパートももちろんなんですけど、Dメロの<簡単じゃない~>のところ。私も「かわいく!」と乗せられて、みさみさ(飯野)とかに「誰が歌っているかわからない」と言われたりもしたんですけど(笑)。


飯野:イントロのドラムの話はしなくていいの?


神戸:そうだ! イントロの途中からドラムが入ってくるんですけど、そこがすごく好きで。自主練していても、一人だけドラムパートを歌ってるんです(笑)。


杉山:ドラムパートを歌うってどういうこと?


神戸:振付の確認をするとき、アカペラでみんなメロディを歌うんですけど、私だけ「ズンズクダンズク」ってドラムのパートを歌っていて(笑)。


田中:私は……Dメロです。キラキラしている中で、ここは雰囲気がガラッと変わって訴えかけるような感じがします。あと、最後の歌からアウトロにつながっていくところも、さらに曲が力強くなるような印象で好きです。


杉山:みんな切ないのが好きなんだね。なるほど。ちなみに、自分としては「どうやって歌いたい」みたいな思いはあったりするの? 「もっと叫びたい!」とか。


神戸:私はバラードで使うようなロングトーンが好きです。


杉山:そういうの、すごく大事だと思いますよ。音楽を考えるみなさんにアピールしておくと、意外な形で叶うことだってあるから。


飯野:私はロックな歌い上げる曲が好きですね。BABYMETALさんもすごく好きで。でも、ただアップテンポを歌えばいいというわけではなく、語りかける感じの曲が好きです。


杉山:確かに、今の話を聞く限りだと、みんな割とカッコいい系の曲が好きなんだね。


飯野:そうですね。NOW ON AIRでは「可愛いの、歌っていいんだ……」と思いました。


神戸:可愛いものに縁がない人生を生きてきたんですよね。


ーーどこか深い闇を感じますね……。


飯野:先程杉山さんが話してくださった印象が普段の私たちで、他のアーティストの方と同じ楽屋になっても「わたしたち、地味かな」と思うこともあるんです。でも、こうやって可愛い服を着せていただけるようになり、ライブをさせていただくようになって「こういうの、やってもいいんだ」と日々気付かされています。


ーー活動を通して「NOW ON AIRとしてやっていい領域」がわかってきたんですね。劇場版アニメ「きみの声をとどけたい」は、湘南(江ノ島)のミニFMラジオ局を舞台とし、ラジオを通じて「コトダマ」を届ける7人の少女の青春を描いた作品です。まずは映画の見どころについて教えてください。


田中:私は、映画の中で描かれる商店街の人とのふれあいですね。顔見知り同士で「また来たの?」と言い合える暖かさや、高校生のすることを地域を挙げて家族みたいに応援したり集まったりできるというのは、今の社会ではなかなかないことかもしれません。でも、こうあってほしいと思わせてくれる描写です。


神戸:私の演じるあやめちゃんは漫画っぽいというか、あまり現実にいるタイプのキャラクターではないので、眼鏡を上げるときや指を指すときにコミカルな効果音がついていて、それが可愛くてお気に入りです。


片平:キャラクターが抱えている悩みや葛藤は、見てくださる方それぞれ共感できるポイントがあると思うので、注目してほしいです。共感できるキャラを見つけたら、一緒に悩みや奇跡を体験できるので。


岩淵:私もキャラクターですね。主人公の7人はそれぞれ違う性格なので、誰か一人には感情移入できるようになっていると思います。


鈴木:音楽です! 劇中歌の歌詞も高校生の悩みや葛藤に沿っていて、心に響くものがあると思います。あと、乙葉ちゃんが即興でピアノを弾きながらセリフを言うシーンは実際に私が作曲して演奏させていただいていますので、ぜひ聴いてください!


飯野:なんといっても映像が綺麗で、全編通して眩しくなるくらい素敵なんです。一番好きなのは、画だけで心に訴えるくらいの夕暮れシーン。あと、キャラクターの私服も何パターンかあって、一人ひとりの個性も表したデザインになっているので、そこにも注目してほしいです。


ーーそれぞれ個性の強いキャラクターを演じましたが、自分との共通点はありますか?


田中:(龍ノ口)かえでは結構思ったことを言っちゃうタイプですが、私はあまり言えないタイプなので、そこは真逆かもしれません。でも、(浜須賀)夕に対して素直になれなかったり、悩み多き女の子という意味では、そこまで遠いタイプでもないと思います。


神戸:私も、共通点はあまりないと思っていたんですが、あやめちゃんってラジオのことが好きすぎて、引くくらい語ってしまう性格で。メンバーには「そこはみっちゃんも同じだよ」と言われました。私もアニメのことになると、相手の反応も気にせずに熱く語ってしまう部分があるので(笑)。


片平:(行合)なぎさちゃんとは、明るい性格とやりたいと思ったことに対して貫く熱意が似ているなと思いました。私も声優になりたいという夢を諦めずにここまで来れたので。


岩淵:私は引っ張っていくというは引っ張られる側の人間で、わりと聞き手に回るタイプなので、そこは雫ちゃんと似ていると思います。あと、最近メンバーから言われて気付いたのは、雫ちゃんが作中で人の話を聴いてそうで聴いていないシーンがあって、私もそういうことがあるみたいで……(笑)。


ーー最年少メンバーの岩淵さんがグループ内での聞き役なんですね。


飯野:なんでも聴いてくれるんですよね。包容力がすごい。


田中:ライブでも困ったら話を振ります(笑)。


鈴木:私と乙葉ちゃんは、金髪という特徴以外は同じなのかなと思うくらい似ているんです。音楽が好きな所や、それゆえに独自の世界を持っているところ、でも本人はなんとも思っていないところとか。


ーー鈴木さんが持っている独自の世界とは?


飯野:行動が意味不明なんですね。あまり理解できない動きをするんですよ。美味しいものを食べたときに後ろへぶっ飛んだり、「ちょっと踊ってよ」とお願いしたら不可解な動きをしたり(笑)。


神戸:でも、音楽面では一番頼れるメンバーなんです。「私、この曲のここが好きなんだけど、なんでだろう?」と聴いたときも「ここで調が変わるのが気に入ってるんじゃない?」と分析してくれたり。


飯野:ライブでも楽曲の音楽的な解説をファンの方に行なう“みんひと先生”として大活躍しています。


ーーライブでしっかりした楽曲解説が聞けるのは良いですね。飯野さんはどうでしょう?


飯野:夕は自分の意見を持っていて曲げないタイプで、私も思ったことをすぐ言っちゃうのでそこは共通しています。夕は謝ることができるけど、私の高校時代は謝らずにさらにこじらせることが多かったです(笑)。


ーー色んなアーティストを見ている杉山さんですが、この6人は今後どんな存在になっていきそうですか?


杉山:何より「どんな存在になりたいか」が重要だと思います。昔よりも今は「やらされているかどうか」がすぐわかる時代で、アイドルや声優さんが生身の人間であるという現実はもうみんなわかっているわけなので、個々人がどれだけ自分の思いを発信しているかが大事なんです。どう生きてきたか、どう生きていきたいかをメンバー同士でもスタッフさんにも、伝えるだけ伝えたほうがそれぞれの色も出てくるでしょうし。


 あと、女の子って自分のモチベーションが上がらないと輝かないんですよ。自分のテンションが上がる曲や振付だと、一気に魅力的になる。それぞれが思うポイントを、つねに探したほうが良いのかもしれません。もちろん、今やっていることも正しいと思うんですけど。


ーー最後に、今の杉山さんの言葉を受けて、6人は今後どんなグループになっていきたいか、リーダーの飯野さんから「コトダマ」にして教えてください。


飯野:NOW ON AIRは一人ひとりやりたいことも考えていることも違う、個性が強い集合体だと思います。でも、それが退屈しない良さでもあるので、いつかは一人ひとりの得意なことを前面に出して、歌やダンス以外でもお客様に楽しんでいただけるエンターテインメント性の高いワンマンライブができるようになりたいです。(中村拓海)