やはり医師は過酷な長時間労働を強いられているようだ。8月22日、はてな匿名ダイアリーに「医師の働き方がしんどそうすぎて見ていてつらい」という投稿があった。投稿主は、「西日本地方都市のそれぞれ異なる自治体で働く3人のアラサー医師」から聞いた話を元にエントリーを書いたという。
投稿主がまず驚いたのは、月に3~4回ある「当直」の過酷さだ。当直の日は、
「8時半から働いて、そのまま当直で病院に残り、なにもなければ宿直室で眠れるけれどそんなことはなくて何度もたたき起こされて診察・処置する。そのまま朝を迎えて、(中略)日中勤務して、夜帰る」
のだという。
「過労・睡眠不足の状態で適切な判断ができるだろうか」
それに加えて、月に5~6回は「待機」というものがある。「待機」とは、夜間や土日にすぐ出勤できるよう、「オンコール」の状態でいることを指す。お酒も飲めず、遠出も出来ないが、呼び出されなければ勤務時間とはみなされない。
さらに、暦上休日にあたる土日に出勤する「日直」も月に2回ほどある。こうした医師の働き方を耳にした投稿主は、「一週間にどれくらい働いているんだろう…」と戸惑っている。
医師は仕事の計画を立てることもできない。「患者さんの数や救急車や急患の状況によってはかんたんに22時を超えるし、時間だけでなく自分で計画をたてにくい」のだ。さらに、上司が資格取得に影響を持つためパワハラが起きやすかったり、病気を患った患者さんとのコミュニケーションが大変だったりと苦労は絶えない。
こうした現状に対して、投稿主は、
「こういう過労・睡眠不足になりやすい状態で適切な判断ができるだろうか。ぼくら一般市民の患者のためにも、医師の労働環境改善は必要だと思う」
と問題提起していた。
20代男性勤務医の勤務時間は週57.3時間、当直・オンコールは18.8時間
コメント欄には、
「こういう職業の人こそまいにち8時間寝てほしいんだけど」
「徹夜明けの医者に手術されるのか、とか考えると怖いよね」
といった声が寄せられていた。寝不足の医師に診察してもらったり、手術してもらったりすることに不安を覚えたのだろう。
また「人員が足りない以上、医学部定員を増やす、コメディカルや薬剤師にも軽微な症状の治療を認めるしか解決策はないのでは」と提案する人もいた。
厚生労働省が4月に発表した「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」によると、勤務医の場合、20代男性の平均勤務時間は1週間で57.3時間、当直・オンコール(待機時間を含む)は18.8時間だった。20代女性では、勤務時間が53.5時間、当直・オンコールが13時間だった。年齢が上がるにつれて、勤務時間は減少する傾向にあるが、かなり過酷な労働を強いられていることがわかる。
しかし近年の「働き方改革」の中で医師の長時間労働にもメスが入れられそうだ。政府は3月に「働き方改革実行計画」を発表し、罰則付きの時間外労働の上限規制を導入することを決めた。適用までに5年間の猶予期間が設けられているものの、医師も規制の対象となっている。
上限規制の導入を控え、8月の初頭には、「医師の働き方改革に関する検討会」も開かれた。2年後を目途に具体的な対策をまとめるという。