元WRC世界ラリー選手権のワークスドライバーでもあり、コリン・マクレーの実弟でもあるアリスター・マクレーが、WolrdRX世界ラリークロス選手権の次戦フランス・ロエアックでラリークロスデビューを飾ることとなった。
WRC時代にはかつてのヒュンダイや三菱などでワークスドライバーを務めたアリスターは、同じくイギリス人の元WRCドライバーであるガイ・ウィルクスに代わって、LOCO World RX Team(ロコ・ワールドRXチーム)に加入。
ウィルクスとチームが双方合意の元で、アリスターが残るフランス、ラトビア、ドイツ、南アフリカの4戦で旧型フォルクスワーゲン・ポロRXスーパーカーのステアリングを握ることとなった。
BRCイギリス・ラリー選手権でも2度のタイトル獲得経験を持つアリスターは「今回の契約は本当に急速に進展したが、フランスでのデビュー戦をとても楽しみにしている」と語った。
「外から見ている限り、世界ラリークロスは年々規模が拡大して勢力を増しているように見えるし、現時点でもっともコンペティティブな選手権のひとつだろう。そこに飛び込む機会を得られたのは、とてもエキサイティングだ」
アリスターは現在、伝説のWRCドライバーである兄コリンが得意としたオーストラリアの地で暮らしているが、その兄のようにラリークロスの経験が豊富なわけではないという。
2012年のニュージーランドでプロトン・サトゥリア・ネオS2000をドライブしたのを最後に、WRCからは遠ざかっているアリスターだが、ラリークロスには2015年にオーストラリアのイベントでスーパーカー・ライトのマシンをドライブしてスポット参戦。この冬にはMスポーツのフォード・フィエスタRXスーパーカーをテストしている。
そして、次週には北フランスに赴き、自らがドライブする予定のVWポロRXスーパーカーを初めてテストする計画だ。
「YouTubeでいくつかオンボード映像を見てはいるけど、実際にドライブしてみるまでどんな感触なのかを理解するのは難しいね」とアリスター。
「僕の息子がプレイステーションで(ロエアックの)トラックを走っているけど、それは僕にとっては最善な方法じゃないし、助けではなく障害になる可能性があるね」
「ラリークロスの経験がないわけじゃないし、モトクロスからキャリアをスタートしたから、トラックを周回する競技がどういうものかの感覚はある。でも世界選手権となればまったく別物と考えた方がいいだろう」
一方、開幕戦バルセロナでの7位が今季のベストリザルトとなっていたウィルクスは、「カナダ戦を最後に、ロコのシートを降りることを決めた」とコメントした。
「いつの日か世界ラリークロスに戻れる日が来たらいいけど、それ以上にアリスターの幸運を願っている。彼は才能あるドライバーだし、ラリークロスにどのように適応していくかを見るのは楽しみだ」
ロコ・ワールドRXチームのオーナーであるマーク・ブラックバーンは、「チームにとって難しい前半戦だったことは否定できない」と語り、今回のドライバー交代劇への影響を認めた。
「良い結果を期待していたけれど、前半戦はいくつかの技術的な問題も発生した。チームとガイは相互に合意の上で、決断を下した。お互いに見解の違う部分もあっただろう」
「我々はアリスターとともに後半戦を戦うことを非常に楽しみにしているし、もちろん今後もロコのドライバーとしてガイとの関係も維持していくつもりだ」