ウイリアムズF1チームのテクニカルディレクターを務めるパディ・ロウは、スパ・フランコルシャンで開催されるベルギーGPは運に左右されやすく、タイヤ戦略次第では大混乱が起こり得るということを嫌というほどわかっている。
サーキットの持つ栄光と壮麗さに加え、大きな高低差と高速コーナーを備えたスパ・フランコルシャンは習熟の難しいコースである。そのうえ、雨天時はさらに難易度が高まる。
スパはF1カレンダーのなかでも全長7.004kmと最長のコースであり、特にウエットの場合には、最適のタイミングでのタイヤ交換が求められる。ロウはスパについて以下のように語っている。
「アルデンヌの天気はトリッキーなことで悪名高い。数分のうちに晴れから雨へ、そしてまた晴れへと変化することもある。1周が長いためにウエットからドライ、またウエットへと戻すタイミングが難しい。英断になることもあれば、大惨事を招くこともある」
「ウイリアムズは、このコースで『FW40』の強みを活かすべきだ。フェリペはスパでの経験が豊富だし、ランスはF3時代にこのコースで優勝している。だからこの週末は、素晴らしい結果がもたらされるのを期待している」
ロウは他の多くのレース関係者同様に、駆け引きが起きるポイントが多く、手ごわいスパ・フランコルシャンのレイアウトを気に入っていると話す。
「私の意見では、スパは世界でも最も素晴らしいコースのひとつだ。カレンダーの中で最も長くF1が開催されているサーキットのひとつであり、過去に多くのドラマチックなレースを生み出している」
「高速コースで大きな高低差が多く、パワーとダウンフォースを活かすことができる。一番有名なオー・ルージュのコーナーは、いまでは全開で走り抜けられるから、実際はあまり限界を感じなくてすむコーナーだ。オー・ルージュは上り坂の長いストレートにつながっている」
「コーナー出口のスピードやスリップストリーム、そしてハイブリッドのパワーユニットのバッテリーに残ったエネルギーなどを組み合わせることができるので、オーバーテイクが比較的頻繁に起きるだろう」