栃木県のツインリンクもてぎで開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦もてぎラウンド。決勝日のサーキットで見つけたトピックスをいくつかお届けする。
■JSB1000は先輩、後輩のガチンコバトル!
スーパーフォーミュラもてぎ戦は2&4。午前中は全日本ロードレース選手権JSB1000クラスの決勝レースが行われた。レースは、ヤマハファクトリーの野左根航汰と中須賀克行が壮絶なバトルを展開。ふたりは1秒以内のギャップで中盤まで写真のような、文字どおりドッグファイトを繰り広げた。
終盤に入ると中須賀がペースを上げて野左根を突き放し始めたが、ラスト3周で中須賀がまさかの転倒。これで野左根がトップとなり優勝、今季2勝目を挙げた。表彰式のシャンパンファイトでは2位の津田拓也と3位の高橋巧から勝利の美酒を顔面で受け取り、この表情。
■雨が心配だった20周年記念イベントは無事に開催
今回のスーパーフォーミュラ第4戦もてぎでは、ツインリンクもてぎの開業20年を記念したイベントが開催。JSB1000の決勝レース後に雨が降り始め、イベントの開催が危ぶまれたが、セレモニー直前に雨が上がるという好運に恵まれた。
このイベントのために設置された特設ステージには各メーカーやサーキットの首脳陣、そして歴代のドライバー、ライダーが登壇。中上貴晶の2018年からのMotoGP昇格のサプライズ発表があるなど、ビックニュースを交えながら、セレモニーの最後は本山哲と岡田忠之がステージに用意されたスイッチを押し、20周年を祝う風船を飛ばした。
■JGTC/スーパーGTチャンピオンカーが大集結! 『タイムトラベルレース』開催
ツインリンクもてぎの開業20年を記念したイベントが多数開催されたが、往年のJGTC全日本GT選手権/スーパーGTのチャンピオンカーによる『タイムトラベルレース』もそのひとつ。
イベントに登場したのは、2000年のチャンピオンカーであるCastrol 無限 NSX、2008年チャンピオンカーのXANAVI NISMO GT-R、そして2013年チャンピオンカーのZENT CERUMO SC430だ。Castrol 無限 NSXは道上龍がホンダNSX-GTに最初のJGTC王座をもたらしたマシン。
また、XANAVI NISMO GT-Rは本山哲/ブノワ・トレルイエに王座をもたらし、R35型GT-Rの復帰を圧倒的な成績で飾ったマシン。ZENT CERUMO SC430は立川祐路/平手晃平のドライブで、“09規定”のラストイヤーで王座を獲得したマシンだ。
この日は道上、本山、立川がそれぞれの思い出のマシンに乗り込み、もてぎの東ショートコースを周回。本山と立川は、当時のレーシングスーツに身を包むこだわりようだった。JGTC/スーパーGTの歴史を彩る名車の競演は、まさにもてぎの20周年を祝う豪華なものとなった。
レースはやはり、最も最近のマシンである立川のZENT CERUMO SC430がリードし、トップチェッカー。本山駆るXANAVI NISMO GT-Rはまさかのスピン(?)で会場を盛り上げ、道上のCastrol 無限 NSXと並ぶようにしてチェッカー。ピットウォークに集まったファンを前に、マシンを下りた3人は笑顔で当時の思い出を語っていた。
四輪のレースの後に行われる予定だった二輪の世界選手権に参戦した歴代マシンによるレースは、コースの路面が濡れたことにより残念ながら走行は中止に。レースの代わりにエンジン始動のパフォーマンスが行われ、迫力のエンジンサウンドを披露した。
■空のF1で活躍する室屋義秀が9年ぶりにもてぎに登場
空のF1と言われているレッドブル・エアレースで活躍する室屋義秀が、ツインリンクもてぎ開業20年を祝う祝賀飛行を行った。
室屋は2007~08年にもてぎで開催されたFAIオートボルテージュ・アエロバティックス・日本グランプリに参戦した経験があり、もてぎの上空を飛行した経験を持っており、今回9年ぶりにもてぎの上空を飛行。
8月5日~6日に開催されたスーパーGT第5戦富士でも室屋はフライトを披露。富士では超低空飛行でホームストレートのグランドスタンド目の前を飛び、会場の観客を大いに沸かせた。その迫力とあり得ない角度での飛行には、何度見ても、驚かされる。
■ほぼポール・トゥ・ウインとなるもてぎ戦でオーバーテイクが多発!
ツインリンクもてぎでのフォーミュラレースはオーバーテイクが厳しく、ここ数年のウイナーはほぼポール・トゥ・ウイン。そこで、スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーション(JRP)は、2016年にもてぎ戦で2スペックタイヤを投入して、レースのアクセントを加えた。
2017年は昨年よりも『タレる』新ソフトタイヤを開発して、このツインリンクもてぎに2スペック目として投入。土曜日が大雨となってしまったため、どのチーム&ドライバーもソフトタイヤのライフが把握できないまま、レースに臨むことに。
そして決勝では、そのソフトタイヤが見事に主役となって、レースを演出。これまで抜きづらいと言われていたもてぎでオーバーテイクが随所に見られたのだ。そしてレースは4番手からスタートしたピエール・ガスリーが今季初優勝。今年のソフトタイヤの出来映えと、レースでの効果にメディア関係者も大いに驚いた。
2スペックタイヤは第5戦オートポリスでも使用される。もてぎの結果から、オートポリスではどのようなレースになるのか、白熱のバトルシーンがまた、随所で見られることを期待したい。