ベルギー出身の元F1ドライバー、ティエリー・ブーツェンは、同郷のストフェル・バンドーンにはF1チャンピオンになる才能があると信じており、今マクラーレン・ホンダは低迷しているが、バンドーンは辛抱して努力し続ける必要があると語った。
2015年のGP2チャンピオンであるバンドーンは、マクラーレンのジュニアドライバー時代から非常に高い評価を得ている。2017年にマクラーレン・ホンダのレギュラードライバーとしてF1フルシーズン参戦を果たした後、バンドーンはマクラーレンMCL32・ホンダの信頼性とパフォーマンス不足に苦しんでいるが、第11戦ハンガリーGPでようやく今季初ポイントを獲得、23日にはチームから2018年残留が正式に発表された。
1983年から1993年にかけてF1決勝に163回出走し、そのうち3度の勝利をものにしたブーツェンは、他の人々と同じようにマクラーレン・ホンダが低迷し悪戦苦闘しているのを悲しい思いで見ているという。しかしバンドーンは忍耐強く努力し続ければ必ず報われる時が来ると、ブーツェンは考えている。
「F1が好きな人間であれば、今の彼らのいる位置を見るのは辛い」と現在60歳のブーツェンはオランダ語誌Formule 1に語った。
「しかしストフェルは辛抱しなければならない。ドライバーとして、後ろばかりを見ていてはならない。常に先を見据えねばならないのだ」
「彼にはまだ時間がある。まだ25歳なのだから。私の初勝利にも時間がかかった。しかし私には初めから知っていた。『良いマシンをくれ。そうすればベルギー国歌が聞けるだろう』と思っていたのだ」
「だから彼は忍耐強くなければならない。下のクラスで戦うストフェルを見てきて言えることは、彼には世界チャンピオンになる可能性があるということだ。私は自信を持ってそう言うことができる」
F1引退後、航空業界で成功を収めたブーツェンは、ベルギー出身のドライバーが直面する典型的な問題について語った。それは、イギリス、イタリア、ドイツといった国に比べるとベルギーには大口のスポンサーがなく、ドライバーが商業的な面で苦労しているという点だ。
そんななかでバンドーンがモータースポーツの最高峰に上り詰めたという事実は、高く評価されている才能の証明にほかならない。
「ベルギー人がF1の世界に入るのは(他の国のドライバーに比べて)かなり難しい」とブーツェンは認めた。
「ベルギーには大口のスポンサーはないので、すべて自分の力でやる必要がある。私にはよく分かる。ウイリアムズ時代、私はチームメイトのリカルド・パトレーゼより優れていたが、商業的な面ではイタリア人の彼の方が関心を集めていた」
「そしてスポンサーのラバットは、イギリス市場にアピールするドライバーを欲しがった。それがナイジェル・マンセルだ。ベルギー人ドライバーは、常にイギリス人、イタリア人、ドイツ人より優れたパフォーマンスを見せなければならないのだ」とブーツェンは強調した。