VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの第9戦、レッド・ロースター・シドニー・スーパースプリントが8月18~20日に開催され、土曜のレース1でタイトル争いを演じるスコット・マクローリン(フォード・ファルコンFG-X)と、SVGことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアVF)が接触、両者ペナルティを課される波乱が発生。後半戦に向け新たな遺恨を生む結果となった。
今季ここまで絶好調といっていい速さをみせているDJRチーム・ペンスキーのフォード・ファルコンFG-Xは、選手権リーダーのスコット・マクローリンがまたしてもポールポジションを獲得。
タイトル争いで直接のライバル関係となる、トリプルエイト・レースエンジニアリングのレッドブル・ホールデン勢を封じてみせた。
しかし、そのスタートでわずかに出足の鈍ったマクローリンに対し、同じくフォード陣営となるプロドライブ・レーシングのマーク・ウインターボトムが先行。
さらにSVGのレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)のマシンも前に出してしまい、マクローリンは3番手で序盤戦の走行を強いられる。
そこで早期のピットストップを選択したDJRペンスキーは、ウインターボトムをかわして早々の首位浮上に成功。
こちらも最初のピットを終えた2番手のSVGと直接対決の構図になった18周目、ニッサン・モータースポーツのアルティマをドライブするトッド・ケリーのマシンが激しいバーストに見舞われ、デブリ処理のためセーフティカー(SC)導入となった。
そして、このSC明けとなるリスタートで、議論のシーンが展開される。
SCアウトでレース再開となるメインストレート上で、まだコントロールラインを通過する前から、先頭で隊列を引っ張るマクローリンとSVGの2台が軽くコンタクト。マシン側面を何度かヒットしながら1コーナーへと向かうなか、インをとったSVGがトップへ。
しかし、続く2コーナーで「僕の判断が悪かった」とマクローリンが振り返ったように、彼のファルコンがSVGのコモドアをプッシュしてしまい、RBRAのマシンはそのままスピン。SVGは15番手までドロップすることとなり、マクローリンにはレースタイム15秒加算のペナルティが課されることとなった。
レース後、SVGに謝罪に向かったマクローリンだが、RBRAは「なぜドライブスルーの適用を判断しなかったのか」と異議を主張。しかしスチュワードはその後の審議により、マクローリンのペナルティは維持の上、SVGに対しても「コントロールライン手前、SCピリオドでのレーシングインシデント」に対し、33秒のタイム加算ペナルティを下した。
最終的にこの波乱が影響したレース1は、マクローリンのチームメイトで今季前半戦をリードしたファビアン・クルサード(フォード・ファルコンFG-X)がトップチェッカー。2位に同じくフォードのチャズ・モスタート、3位にRBRAのジェイミー・ウィンカップ(ホールデン・コモドアVF)の表彰台となった。
翌日のレース2では、その土曜表彰台組がスタートから躍進。この日もポールのマクローリンがプア・スタートとなり、いきなり4番手に後退。序盤戦はモスタートがリードを奪う展開となった。
さらに中盤には、ふたたびコース上のデブリにより前日同様ニッサン・モータースポーツのマシンがバースト。今度はリック・ケリーが不運に見舞われ、これで連日のSCに。
これに乗じて各車が最初のピットストップをこなすなか、首位浮上となったのがRBRAのウィンカップだった。
ウインカップはその後一時はチームメイトに先頭を譲るものの、ラップタイムに勝る自らのドライビングで42周目に再逆転。
そのままリードを維持して52周を走破。今季2勝目を挙げると同時に、キャリア通算106勝目となりシリーズの新記録を樹立。前記録保持者でRBRAのサテライトに所属するクレイグ・ラウンズを始め、多くのファンから祝福を受ける歓喜のポディウムとなった。
この週末の結果により、マクローリンは2058ポイントで選手権リーダーには留まったものの、ウィンカップが12ポイント差の2番手と肉薄。DJRペンスキー独走の展開が変化を見せ始めている。
次戦9月16~17日の第10戦は“エンデュランス・カップ”の初戦となるサンダウン500となる。