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龍 真咲がソロアーティストとして示す新しいJ-POP「大好きな歌こそが大きな目標であり挑戦」

2017年08月23日 10:03  リアルサウンド

リアルサウンド

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 元・宝塚歌劇団「月組」男役トップスター“龍 真咲”が8月23日、1stアルバム『L.O.T.C 2017』をリリースする。2016年に宝塚歌劇団を卒業した後、舞台、ファッションなど幅広いフィールドで活動してきた彼女は、本作をきっかけにソロアーティストとして本格的なスタートを切ることになる。


「退団後の活動に関しては、真っ白でした。その後、ご縁があって、自分の希望が少しずつ形になっていくのを感じています。このアルバムもその1つ。子供の頃からずっと欲しかった自分の曲、そこに込めた想いが凝縮されたアルバムになっています。これを基盤に、また一歩ずつ、ビジョンを描いていきたいと思います」


 宝塚歌劇団時代から歌手としての類まれな才能を発揮していた彼女。ソロアーティストとしての活動をするにあたって、まずは自分自身の声の研究から始めたのだとか。


「今までは全てが男性目線で、歌い方も仕草も、男役として極めていく努力をしてきましたが、退団して新たなスタートを踏み出した時、まずは、”私”という1人の女性と向き合うように気持ちも意識も整えました」


 楽曲プロデュースは、数多くのヒット曲を手がけてきたアゲハスプリングス・グループのonetrap&asprが担当。制作には彼女自身の音楽センス、これまでのキャリアも反映されているようだ。


「プロデューサーチームの皆さまとお話をさせていただいたとき、宝塚の舞台を16年つとめた経験、歌やダンスを日々ステージで披露してきたことの体現など、“音楽が鳴ると自然に身体が動き出すような、レビューに通ずるリアリティーを音楽でカッコよく表現していこう!”とアドバイスをくださいました。なので自分が提案したというよりも、私自身のプロセスを音楽で表現してくださったという感じですね。私自身はもともと歌詞のない音楽が好きです。歌詞があると、その世界に縛られてしまうから。サウンドやメロディから、イメージや妄想を膨らましていたいですね」


 龍 真咲の個性と才能を活かしながら制作されたアルバム『L.O.T.C 2017』には、ジャンルを超えたカラフルな楽曲が揃っている。オープニングは心地よいファンクネスを備えたミュージカル風のインストナンバー「LANDING on the CITY」。さらに彼女自身が「ジャズ感が好き!」という「Silly game」、アシッドジャズのテイストを感じさせる「Merrily Mode」が続く。歌手としての奥深い表現力が実感できる「Miss you always」「Long Island Icetea」も大きな聴きどころ。そして前向きな意志に溢れたポップチューン「ヒーロー」。その中心にあるのは言うまでもなく、彼女自身のボーカルだ。


「大好きな歌こそが大きな目標であり、挑戦でもあります。今回のレコーディングを経験して、まだまだ奥が深いなと感じました。でも、歌うことが好きに変わりはありません。これからもどんどん追求していきたいと思っています」


 アルバム『L.O.T.C 2017』の全体的なテーマは“渋谷を舞台にしたショートムービー風の作品”。アルバム全体を通してひとつのストーリーを描き出すスタイルも、舞台出身の彼女の魅力をしっかりと際立たせている。


「劇団を卒業して、初めて立った舞台が渋谷でした。そして、今回、再び、1stアルバムのコンセプトである渋谷に帰って来ました。渋谷は訪れるたびに景色が変わって見える大好きな街。いろんな世界観が共存し、日本の発信基地でもある渋谷の街から新たにスタートを切れる喜びを感じています」


 アルバムのリリース後には、初ライブが控えている。8月26日、27日には渋谷・Bunkamuraオーチャードホールで『Ryu Masaki Concert「L.O.T.C 2017」』、9月16日には奈良県吉野山金峯山寺で『龍 真咲「世界遺産コンサート」』を開催。アルバム『L.O.T.C 2017』で示された音楽観は、ステージという場所でどのように表現されるのだろうか?


「私が持つ世界観や私自身の歴史と共に、音楽で世界を巡ると言うコンセプトに沿って作っています。Bunkamuraオーチャードホールのライブは二部構成になっていて、アルバム曲もたっぷりお聴きいただけると思います。また、CDのジャケット、MV映像の撮影をしてくださったレスリー・キーさんがコンサートで流れる映像も監督をしてくださいました。こちらもイメージを膨らまして作りましたので、どうぞお楽しみに!」


 豊かなストーリー性と高い音楽性を共存させた、新しいJ-POPの形を示し始めた龍 真咲。アルバム『L.O.T.C 2017』から始まるソロアーティストのキャリアは、幅広い層のリスナーから注目されることになりそうだ。


「ソロアーティストとして、一つに捉われず、様々なジャンルを歌えるようになりたいです。自分の声を使って、沢山の方に、想いや、癒し、エネルギーを感じてもらいたいですね。TVや映像の世界も大切ですが、私自身としては、今までも、これからも、実際にお客様の近くにいる存在でありたい。沢山の音を操って、その空間を音と一緒に楽しんでいただけるような存在でありたいと思っています」(文=森朋之)