日本企業では「出向」というと、出世コースから外されたと落胆する人が多いもの。しかし会社の危機に際して、出向先から本体に戻って改革を断行するヒーローもいます。問題の渦中にいなかったからこそ、できることもあるのですね。
Q&AサイトのYahoo!知恵袋には、この春、大企業に入社を控えた大学生からこんな相談が寄せられていました。相談者さんは就活にあたり「会社のさまざまな事業・製品に関われる」「海外に関わる機会が多い」「専門性を高められる」をポイントに企業や部署を選び、憧れの大企業の希望部署から内定をゲットしたそうです。(ライター:Makiko.N)
「既に出世コースから外されているのではないか」
入社に向けて専門知識や英語など自分なりに準備を進めていましたが、勤務地の発表で親会社の事業の1つを担う子会社への出向を言い渡されてしまいました。その事業自体への興味が薄く、海外と関わる機会もなさそう。部署の人数や事業の規模は親会社より少なく、専門性は「広く・浅く」になりそうだとのこと。
相談者さんが就く職種では、新卒の半数は関係会社に出向し、3~4年後に親会社に復帰するのが通例になっているそうですが、相談者さんは出向先の子会社が想定と大きく異なっていることにショックを受け、
「自分は既に出世コースから外されているのではないか」「とても悔しい」
「モチベーションが大きく下がって入社に向けた勉強にも力が入らなくなった」
と漏らします。そして、自分を奮い立たせ出向先で頑張ろうという気持ちとともに、このような気持ちで出向し働くことは失礼であり、就職活動をもう一度行おうという気持ちすら湧いているのだそうです。
理想が叶ったと喜んだ分、予想外の配属へのショックは大きいのでしょう。こんなとき、世間の人々はどんな対応をするのでしょうか。回答者からは「入社前から頑張る気になれないなら入っても無駄なので、私なら別の道を探します」(fyhds499さん)という意見が寄せられています。
「出向」の暗いイメージはもはや古すぎる?
その一方で、「配属先で頑張ってみるべき」という意見も。
「望まない条件からスタートする仕事はたくさんあるんだけどね。その度に一々逃げるのか、一先ずやれることはやってから辞めるのかよく考えたほうが良いと思うけどね」(coolgreen2016さん)
「また次の企業で同じこと言うんじゃないですか??? サラリーマンとなる以上、与えられた環境の下で最大の成果を挙げるのがミッションでしょ?」(Isshibataさん)
希望と異なる部署に配属された経験のあるdekisokonai_69さんもこうアドバイスします。
「出向先で頑張ってください!(…)事業規模が小さい。ある意味ラッキーです。広く浅くって悪いことだけではないですよ。親会社より、若いうちから色んな仕事の経験が積める可能性があります」(dekisokonai_69さん)
社内の花形事業部でなく希望の部署とは違っていたけど、自分なりに頑張って20代後半から海外赴任させてもらっているとのこと。配属先が決まったなら仕方ない。「評価されるよう結果を残すのみ」と励ましています。
若いうちの苦労は買ってでもしろという言葉があります。メガベンチャーのサイバーエージェントでは、手を挙げれば「好きな子会社」に出向できる自由があり、毎年本体と人材の行き来があるのだとか。「出向」に暗いイメージを持つのは、もはや古い日本企業に限られるのかもしれません。