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土砂降りの雨でのサバイバル術と予選Q1の背景。混乱極まる決勝のタイヤ選択

2017年08月19日 19:22  AUTOSPORT web

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突然の豪雨により予選Q2、Q3がキャンセルとなり、翌日開催となったスーパーフォーミュラ第4戦もてぎ予選。雨の中でサインボードを撤収するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGのメカニック
まさかの天候の変化とリザルトとなった、スーパーフォーミュラ第4戦ツインリンクもてぎでの予選Q1。ランキングトップの石浦宏明(P.MU/CERUMO · INGING)に、昨年王者の国本雄資(P.MU/CERUMO · INGING)、そして山本尚貴(TEAM MUGEN)と、優勝候補がQ1敗退という、誰もが予想し得ない展開となったが、なぜこのような予想外の結果になったのか。

 近郊の宇都宮市が1時間に28.5mmという激しい雨で道路が冠水になるなど、栃木県に活発な雨雲が訪れ、予選Q1開始直後に雷鳴とともに大粒の雨に見舞われたツインリンクもてぎ。場内の観客には避難指示が伝えられるほどの稲妻と大雨だった。

 Q1セッションでは大嶋和也(SUNOCO TEAM LEMANS)、国本、石浦、山本、塚越広大(REAL RACING)が脱落。雨が降りはじめて強くなっていくタイミングで、塚越や大嶋はピットガレージの位置が後方だったことでコースインが遅れるという不幸な面があり、国本もファストレーンへ並ぶタイミングが遅れたという事情がある。

 それでも、先頭に並んでいた石浦がQ1をクリアするタイムを残せず、さらにはピットガレージ最後方の小林可夢偉(KCNG)が3番手でQ1突破と、コースインの順番だけが理由とはならない結果にもなっており、Q1でタイムを残せなかった面々の背景が気になる。

「コースインから攻めてはいました。S字でアンドレ(ロッテラー)に先を譲りましたが、アンドレがその後90度コーナーで飛び出したので、また先頭に戻ってアタックしましたがグリップが全然来ていなくて、2周目もアタックに行きましたが、路面は1周目のアタックの時よりも濡れていて、そこで終わってしまいました。各チームのクルマのセットアップの特性があると思うんですけど、今回のコンディションは僕たちのチームにはタイミングが最悪になってしまった」と、予選Q1を振り返る石浦。

 セルモのマシンのセットアップは基本的に決勝重視で、タイヤへの入力が優しい傾向がある。決勝ではタイヤマネジメントに優れる反面、ウエットではウォームアップが厳しいというウィークポイントになってしまう。今回の雨のセッションではタイヤへの入力が大きいセットアップのマシンが上位に来やすかったことは間違いなく、チームの基本セットアップが大きな要因になった点は見逃せない。

 また、ピットガレージが後方だったKONDO RACINGのふたりがトップ2となり、最後方の可夢偉が3番手となった要因には、ドライバーが雨のアタックを頑張ったことはもちろんあるにせよ、彼らのタイヤがコースインの時点でニュータイヤではなかったという要因もある。この上位3台は金曜日走行や練習走行でソフトタイヤをスクラブ(皮むき)しており、そのタイヤでQ1のアタックしたようで、完全なニュータイヤでアタックしたドライバーよりもウォームアップの面で優位だったと考えられる。

 ドライバーの頑張りや運、不運、ピットガレージの位置など自分たちではどうにもならないさまざまな要素が重なり合う中、今回の予選Q1セッションはわずかな時間での選択と決断が迫られることになったのだ。

 そしてまた、再び難しい選択を迫られるのが、決勝の戦略だ。

 予選Q2、Q3が日曜の午前に開催されることになり、日曜のフリー走行はわずか10分という短い時間に短縮。10分の走行ではもちろん、ソフトタイヤのライフは計りきれず、日曜日は全ドライバーがソフトタイヤのライフが分からないまま、レースを迎えることになるのだ。

 上位のグリッドは明日のQ2,Q3次第ではあるが、いずれにしても決勝のポイントになるのが、スタートタイヤをミディアム、ソフトのどちらを選ぶかということ。決勝の52周のうち、給油が必要な周回数は約10周とみられ、スタート後、10周目あたりからピットインのウインドウ(フィニッシュまで行けるピットタイミング)が開くと予想されている。

 スタートをソフトにして、逃げるだけ逃げてタレたらミディアムに交換というシンプルな考え方が王道ではあるが、スタートをミディアムにしてソフトタイヤ勢スタートの動向、周回数を見てから戦略を決めるも良し。さらに燃料満タン時にソフトを履くより、軽くなって路面状況が良くなったところでソフトタイヤを投入すれば、パフォーマンスもライフも威力抜群などなど、グリッド順とドライバーの狙いによってスタートタイヤは分かれることは間違いない。

 さらに、ピットインのタイミングがドライバーごとに異なれば、それこそ、戦略の幅は千差万別。ミディアムタイヤとソフトタイヤのタイム差も今日の雨の段階では1秒以上はありそうだという程度しか分かっておらず、とにかく、日曜日の決勝レースはいろいろなパターンが想定される複雑なレース戦略が絡み合う展開になりそうだ。