トップへ

【水瀬きいチーム激励連載】クラッシュとアクシデントの大きな代償:スーパーGT第4戦GT300編

2017年08月18日 20:32  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

『400万』を示す高森選手ときいさん。この日はきいさんのネイルがたまたま“植毛色”だったのでこのポーズ。
レースは不測の事態、想定外の連続だ。特に2クラスが混合でレースを行うスーパーGTでは、トラブルやクラッシュなど、アクシデントが絶えない。傷ついたクルマを、夜を徹して修復するメカニック、その横で頭を抱えながらソロバンをはじくチームオーナー……。そんな苦労を重ねたチームを、オートスポーツwebナビゲーターの水瀬きいが励ましつつ、その大変さを数字を目安に紹介します。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆
 
 サリュー!

 オートスポーツwebナビゲーターの水瀬きいです☆ 第3回めとなる激励企画『【水瀬きいチーム激励連載】クラッシュとアクシデントの代償』ですが、今回はスーパーGT第4戦SUGOでクルマがお怪我をされたチームのうち、GT300チームの2チームにお話しを聞いてまいりました。チームの皆さんにイヤな顔されても、めげずにいきますよ~! ではまず1チームめはこちら。

■PANTHER TEAM THAILANDの場合
 まずは、第4戦SUGOでレース5周目に最終コーナー立ち上がりでクラッシュしてしまったARTO 86 MC 101。ちなみに、その前にSUGOであった公式テストでもリヤからクラッシュ。SUGOではなんと2回もクラッシュしてしまったのだそうです……。ステポン・サミタシャ監督にお話しをうかがいました。え~と……どんなお怪我になってしまったのですか?

「公式テストのときにリヤがクラッシュして、レースのときにはフロントをほぼ全部。新車みたいになっちゃったね」

 ステポン監督、じつは日本に長年いらっしゃるそうで、日本語ペラペラです。では、修復にどのくらい時間がかかったのですか?

「レースが終わって10日くらいかかったかな。でもまだ終わってないよ。今晩(この取材はスーパーGT第5戦富士の搬入日に取材しました)カラーリングを終わらせないと」

 そうなんです。この取材のときには、カラーリングが一切なくて、カーボンブラックのままだったんです。で、気になる修理費用なんですが……

「まだカラーリングが終わってないから、詳しくは分からないけど……。テストと両方足したら、1500万円じゃあきかないかなぁ……。2000万いっちゃうんじゃないかな。テストのときの費用が1000万円くらいで、レースのときのが500~600万円くらいかな」

 お、おおう……。ついに出ました“2本”! それはなんとも……。

 さらにステポン監督からは「ドライバーはぜんぜん怪我はなかったんだけどね。自分のレースでもクラッシュしたし(泣)。(鈴鹿テストでドライブした)ブティコン(インタラプワサク)も中国で怪我したし。お祓いいったほうがいいかなぁ」とのつら~いコメントが。

 えっと、タイにお祓いという文化があるかは分かりませんが……。“お支払い”はしませんが、“お祓い”します!

「お祓いしてもらって事故が起こらなくなったら、こちらがお支払いしますよ(笑)」とのことでしたが、スーパーGT第5戦富士は無事完走。お祓い料……いただいちゃいます!?

■DIJON RACINGの場合
 続いては、第4戦SUGOの3回目のセーフティカーの原因となってしまったDIJON RACING。田中勝輝選手がドライブしていた植毛GT-Rが最終コーナーでバリアにクラッシュしてしまいましたが、高森博士選手にお話を聞いてきました。えっと、今日は前回クルマがお怪我をされたチームにエールを送りにきました。

「余計なお世話です(笑)」

 ……スイマセン。そういう企画なもので。クルマのお怪我はどの程度だったんですか?

「損傷は、まずドライバーの心ですね。スタートドライバーが田中選手で、後半担当が僕だったんですが、ちょうど路面がウエットからドライにチェンジオーバーしそうなところだったんです。監督が『プッシュ! フルプッシュでいけ!』と指示したんですが、ピットインする周に、最終コーナーのバリアにピットインしました」

 な、なるほど。だそうですが、そばで聞いていた田中選手によれば「監督の指示どおりにしました」だそうです。続けて高森選手から損害額をおうかがいしました。

「クルマは左フロントから、わりとバリアと平行に接触しているので、クルマのダメージは比較的少ないです。損害額としては僕の月給くらいですね(笑)。クラッシュ後、僕はレースも走っているくらいなので損害は軽微ですが、部品代で400万円くらい。部品発注とスーパー耐久のテストデーもあったので、1週間はかかりましたね」

 マジっすか? それはどちらに驚いていいことやら。さらに高森選手からは、驚きのエピソードが……。

「レース中、クルマが直ったかどうか確認してくれと言われたので乗ったんですが、慎重にみんなの10秒落ちでいけて、『問題ないよ』と伝えたんです。で、トップが何秒で走っているか聞いたら、1分22秒台と言われた。そこで22秒で走って『クルマ問題ないよね。ピット戻っていいよね』と聞いたんです。そうしたら『いまあと片付け中でジャマだから、チェッカーまで走って』って言われました(笑)。実話ですよ」

 どっひゃ~。いつも和気あいあいの雰囲気とは言え、DIJON RACINGおそるべしです……。そして高森選手からは、注目度バツグンの今季のカラーリングについてうかがいました。

「まずこのクルマを走らせた理由は、植毛というのは歯が抜けてインプラントを入れたりとか、目が悪くてメガネをかけたりするのと同様に、健全な生活を送るために植毛すればいいじゃん、と誰にでも分かりやすく提案することが目標だったんです。なので、車名も分かりやすくしたし、世間に対して植毛ってそんなに悪いことじゃないよ、と認識してもらおうと思っています」

 ほほ~。そんな理由があったんですね。

「年齢的にも40~50代の方って気にする方も多いし、彼らの若かりし頃のエナジーを思い出してもらうべく、クルマの色も昔懐かしいレイトンハウスのブルーをイメージしてますからね。今はみんな“植毛色”って呼んでくれていますけど、人間って目で見たり耳で聞いたことしか覚えないので、そこは計算でやっているプロモーションなんですよ。僕、IQ200を越えているので、計算ずくなんです」

 な、なるほど。これまたビックリ。それで高森選手、頭を使いすぎてしまったということですか……!?

「それを植毛でカバーってワケですよ。そこを理解してもらえれば完璧です(笑)」

 自虐ネタありがとうございます! そんなわけで、きいも“ハゲまして”帰ります!