昨今、お墓参りのYouTube配信や読経をするPepper導師など、葬儀関係にIT技術が採用され始めている。そんな中、石材店の良心石材は8月18日、スマホを使って故人に縁のある場所を慰霊場所にできる「スマ墓(スマボ)」の提供を開始した。同サービスはスマホのブラウザやアプリで利用することができる。
生前にお墓を建てても自分の死後負担になるのでは、と危惧する人も
「スマ墓」は任意の場所のGPS情報を登録し、その場所に遺族や関係者が訪れるとあらかじめ設定したメッセージや、写真、動画、AR(拡張現実)がスマートフォンに表示されるというもの。場所は複数登録できる。
申込者が存命中であれば、自身で好きな場所にメッセージや写真などを登録することもできる。視聴できる人を指定することも可能で、「孫が成人したら」「結婚したら」など将来にわたってメッセージを残すこともできる。
また遺骨は同社で最大15年間保管され、以降は合葬される。期間内であればお墓を建てる資金が貯まった、居住地に合わせたお墓の場所が決まったなどのタイミングでいつでも返却される。
同社によると、生前にお墓を建てても自分の死後、遺族の急な引っ越しなどで墓参りが負担になるのではと危惧する人も一定数いるという。そのため高価なお墓を購入することに疑問を持つ人が多いようだ。他にも葬儀や仏壇の用意で墓地や墓石を買う余裕のない人などもいることから、安価でどこでも慰霊することができる同サービスを開発したという。
「ARなら墓前に自然と現れるので、その空気感からより感動できるのでは」
月額500円で、生前に申し込むと死後1年は無料になる。18日現在、すでに15件の問い合わせがあったという。キャリコネニュースの取材に、同社の香取良幸社長は、
「私も8年前に身内を亡くしています。お墓参りは今までの感謝の気持ちを伝えるためでもありますが、私自身、悩んでいるときに行くこともあります。故人から『がんばれ』と励まされたい、その気持ちからサービス発案に至りました」
と語った。またARの使用について「お墓の前など、自然に現れたように見えるためその空気感を味わうことから、より感動できるのではと思い採用しました」と話していた。