8月17日に開幕したWRC世界ラリー選手権第10戦ドイチェランド。前戦ラリー・フィンランドで優勝し、勢いに乗るTOYOTA GAZOO Racing WRTは、エースのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合6番手でSS1を終えた。
雪面も走る第1戦モンテカルロを含めれば今季3度目のターマック(舗装路)イベントとなるラリー・ドイチェランド。競技初日のデイ1は、サービスパークが設けられたボスタルジーから約50km南のザールブリュッケンでSS1が行われた。
このSS1はザールブリュッケン市街地に設けられた特設ステージで、コンクリートブロックでコースを囲った構成。全長は2.05kmと短いものの、コース幅が狭いことからわずかなミスが大きなクラッシュにつながりかねない。
シトロエンのクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)が、コンクリートの餌食となるなか、ヤリスWRCを操る3名のドライバーたちは細心の注意を払ってステージを完走。
ラトバラが陣営トップの6番手につけ、ユホ・ハンニネンが12番手、エサペッカ・ラッピが13番手。3台とも大きなダメージを負うことなくデイ2へ駒を進めた。
「彼らはSS1を問題なく走り終えたが、本当の戦いは明日からだ」と語るのはチーフ・エンジニアのトム・フォウラー。
「ラリー・ドイチェランドは、(第1戦)ラリー・モンテカルロと同じように路面とタイヤのグリップ力が頻繁に変わるため、その変化の見極めが難しく、準備がとても難しいラリーだ」
「また、ラリー・ドイチェランドは天気が変わりやすいイベントでもあり、どうやら週末の天気はあまり良くないようだね。しかし、ここまでのところ、すべてがうまく進んでいると思う」
総合首位と2.2秒差につけたラトバラは「自分たちが走る前に他の選手のアクシデントを見ていたので、とにかくミスをしないように集中力を高め、クリーンな走りを心がけた」とSS1を振り返る。
「結果的に良い走りができたと思う。ラリー・ドイチェランドは、今シーズンもっとも難しいラリーのひとつになるだろうけど、過去には良い思い出もあるから、4位以内でのフィニッシュを目指すよ」
前戦で自身初のWRC表彰台を手にしたハンニネンは「今晩のスーパーSSはうまく走ることがでた。明日も好位置につけられるよう頑張りたいと思う」とコメント。
ラリー・フィンランドで初優勝を飾ったラッピは「フィンランドでの勝利はすでに忘れ、新たな気持ちで今回のラリーに臨んでいる。ターマックをこのクルマでどのように走るべきなのか、まだ学習中だから今週末は学びを得ながらの戦いとなるだろう」と述べている。
競技2日目の18日は、ボスタルジーを中心にSS2~8の7SSで争われる。SS3~4と、このステージを再走するSS6~7は、ラリー・ドイチェランド名物のぶどう畑を抜けるステージだ。
ただし、雨が降りウエットコンディションになると、路肩の泥がコース上に流れ込んで滑りやすいコンディションに変化するため、ドライバーには細心の注意が求められる。
7SS合計の走行距離は108.51km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は441.61kmだ。