田舎で余裕のある生活を送るか、経済的に厳しくても東京暮らしが良いかは人それぞれだ。ときには比較してみるのも面白いだろうが、これにハッキリ勝敗をつける人もいる。
8月初め、2ちゃんねるに「年収400万円の田舎暮らし公務員vs年収600万円の一部上場会社勤務で東京暮らし」というスレッドが立っていた。つまり、年収はそれほどでなくとも物価が安く「安定した田舎の公務員」と、一部上場企業でも「ハードな東京暮らし」を比較しているのだ。
スレ主は田舎と東京両方を経験したというが、「圧倒的に田舎暮らし公務員最強」と推していた。(文:okei)
「高い家賃でウサギ小屋、都内人が不憫でならない」
田舎の公務員が最強な理由として、家賃などが安く
「高い家賃払ってウサギ小屋みたいなところに住んでいる都内人が不憫でならない。家も車も余裕で持てるので、とても豊かな暮らしができる」
と断言している。言いたいことは分かるのだが、スレ主はどういう訳か一方的な勝利宣言のように上から目線だ。
2つめは、田舎は男が就職で都会に出てしまうので女性が多く、「容姿や性格のいい子を選び放題」であること。3つめは、自然が豊富で少し車で行けば海も山もあり、「都会はたまに行くくらいでいい」という。
以降、「田舎で公務員というステータスは医者並に高い。今や一部上場企業でさえ倒産していく時代」「公務員は病気になっても保障が手厚い」「通勤時間が短い。田舎ならエアコンの効いた快適な車でドアトゥードアで20分もいけば勤務地に着く」と全部で6項目を挙げた。
が、さらに追記して「都内だと電車に乗ったり暑い中、道を歩いたり。都内人が不憫でならない」と、またしても余計なマウンティングである。
しかし年収600万円といえば日本の一般的なサラリーマンの平均年収の上を行く。国税庁の民間給与実態統計調査(2015年)を見ると、年収600万超の人は全体の18.8%。立派に勝ち組のような気がするが、「都内勤務年収600万。家賃高すぎて千葉暮らし」という声もあり、都会では年収600万以上でもラクではないようだ。
将来人口が減って「自治体が存続不可になる可能性も捨てきれない」
とは言え、やはりスレ主は反感を買っていた。「両方経験したけど楽しさは圧倒的に東京だったなあ」を初め、どの程度の田舎なのか、なんの公務員かにもよると突っ込まれている。
「市町村なら2025年以降存続不可になる可能性も捨てきれない」
という指摘は、2025年には5人に1人が75歳以上という超高齢化社会となり、以降人口が減少して自治体が消滅する危機があるとされる件だろう。しかしスレ主は、「合併しても失職はないよ」と強気だ。
それにしても、どこに住むかは各人の価値観によるものなので、比較して優位性をアピールするのも変な話だ。スレ主は「都会はたまに行くだけでいい」というけれど、自然を楽しむより映画の単館上映や美術展、カフェなどを日常的に楽しみたい人もいるし、子どもができたら高等教育は都心で受けさせたいとなる可能性も大きい。
一方、地方は「どの程度田舎」かが重要で、車がないと生活できないためガソリン代が都会の家賃並みという場合もあると聞く。何事もメリットとデメリットはあるものだ。
スレ主は、自分の生き方を肯定するために他人を否定しているようでモヤモヤしてしまう。まあ、この人と暮らしの価値観が同じだと思う人は参考にすればいいのだろう。