8月11~13日にアメリカのユタ・モータースポーツ・キャンパスで開催されたPWCピレリ・ワールドチャレンジのスプリントX戦で、リアルタイム・レーシング(RTR)のアキュラNSX GT3が待望のシリーズ初勝利をマーク。続くレースでも2位表彰台を獲得し、NSX GT3が初のビクトリーレーンへ進んだ。
60分のセミ耐久フォーマットで、ドライバー交代義務のあるスプリントX戦のラウンド7、ラウンド8に向け、RTRのアキュラNSX GT3はそれぞれ43号車ライアン・エバースレー/トム・ダイアー組、93号車ピーター・コックス/マーク・ウィルキンス組がエントリー。
土曜のラウンド7に向けた予選では、93号車コックスが初となるポールポジションを獲得し、決勝に向けて幸先の良い仕上がりを見せた。
ラウンド7のスタートドライバー、コックスは順調にリードを保ち40分を消化したころ、ドライバー交代のためピットに飛び込むと、ここでウィルキンスにスイッチ。
しかし、このピット作業の間に2番手のフェラーリ488GT3、ダニエル・マンチネリ/ニコーロ・シロ組に逆転を許し、ポジションを下げる展開に。
その後、先頭のフェラーリを追うNSX GT3の奮闘を天は見放さなかったか、終盤に入り488GT3がまさかのハーフスピン。これを見逃さなかったウィルキンスが再度首位浮上を果たし、その後はテール・トゥ・ノーズのバトルに発展。跳ね馬の猛攻をしのぎ切ったNSX GT3は、フィニッシュラインで0.228秒先行して薄氷のトップチェッカー。
アキュラとRTRにとってはPWCでの79勝目、NSX GT3にとっては待ちに待ったシリーズ初勝利を挙げることとなった。
「本当に素晴らしい気分だ。僕はいいスタートを切ったし、マーク(・ウィルキンス)のためにできるだけマシンを労わろうと思っていた。ピットストップで数秒を失った時は厳しいと思ったが、幸運にも最高の結果が手にできた。マークはプレッシャーによく耐えてくれたし、最高にファンタスティックなリザルトだよ」と、チームメイトの健闘を称えたコックス。
一方、冷や汗ものの残り数周を戦ったウィルキンスは「とにかく目の前のコーナーに集中し、マシンの性能を最大限に引き出すことだけを考えた」と、振り返った。
「予選でピーター(・コックス)が最高の仕事をしてくれたし、首位に浮上してからはファイナルラップに入るホワイトフラッグが本当に待ち遠しかった(笑)」
「NSX GT3のグローバルな挑戦に向けたプログラムで勝利を挙げられたことは、本当に光栄だ」
その勢いのまま、日曜のラウンド8を迎えたNSX GT3勢は、93号車が2番グリッド、43号車が3番グリッドからスタートし、ポールシッターのフェラーリを追う展開に。
前日からスタートドライバーを入れ替えて臨んだ2台だったが、93号車のウィルキンスはすぐにマシンの異変を察知する。
「グリーンになってすぐ、ターン1への突入でフェラーリをプッシュしようと切り込んだら、タイヤのグリップがまったくないことをマシンが教えてくれたんだ」
その状況を背後で見ていた43号車のダイアーは、バックストレートですぐに2番手へと上がり、先頭のフェラーリ追撃体制に入った。
「彼(マーク・ウィルキンス)に何か問題が起きたのは明らかだった。前を譲られてからは、トップを追うことに集中したよ」
その後、レースは幾度ものイエローコーションが発生し、リズムが作れない展開となるなか、ドライバー交代を終えた43号車エバースレーは、ポルシェ911 GT3 Rのパトリック・ロングとの接触で相手を弾いてしまうアクシデントもありつつ、なんとかフィニッシュラインまでマシンを運び切ることに成功。連日の表彰台となるシーズンベストの2位を確保した。
「彼(パトリック・ロング)のスペースを残しておこうとしたんだが、そのままはらんで結果的に彼を押し出す形になってしまった。その点は本当に申し訳ない」と振り返ったエバースレー。
「でも、こうして週末で3度のトップ5を記録し、初の勝利も手にしたことは、アキュラとRTR、そしてNSX GT3にとって励みになる結果だ。このままいけば、シリーズ終盤にはさらなる成功を手にできるだろう」
PWCの次戦は、9月1~3日にテキサス州オースティンのF1トラック、サーキット・オブ・ジ・アメリカズでの開催となり、スプリントXフォーマットでの最終戦となるラウンド9・10が予定されている。