元F1チャンピオンであり、現在は解説者としても知られるジャック・ビルヌーブは、現在ポイントランキング1位のセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)について「ベッテルが少しでも集中を欠けば最終的にタイトルを逃すこともあり得る」と考えている。
ベッテルは2017年シーズン、第11戦ハンガリーGPまでに4勝を挙げ202ポイントを獲得。ポイントランキング2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)に対し14ポイントの差をつけている。
ポイントリーダーであるベッテルだが、彼の意志の強さはコース上のパフォーマンスとしてはもちろん、不利な状況下でも感情の爆発という形でも現れる。第8戦アゼルバイジャンGPでのハミルトンとのアクシデントはまさに彼の意志の強さがネガティブな形で現れた例だろう。
バグー市街で開催されたF1第8戦は、セーフティカーが3度介入し、赤旗による中断は23分という混乱のレースだった。2度目のセーフティカー後のリスタートの際、2番手を走行中だったベッテルがトップを走っていたハミルトンにターン15出口で追突。ベッテルはハミルトンが“ブレーキテストをした”と怒りを表し、もう一度側面からヒットしたのだ。この接触により、ベッテルにはペナルティが科され優勝を逃してしまった。
ベッテルは、8月末に再開される第12戦ベルギーGPで、ハミルトンを寄せ付けないという重大なタスクに直面するだろう。
勝利するにはマシンのパフォーマンスレベルが、ベッテルとハミルトン双方のドライバーに大きく影響してくる。ビルヌーブは、ベッテルが2017年シーズンのタイトルを獲得するという、最も重要な目標を維持する必要性があると考えており、少しでもその集中を鈍らせてしまえばタイトルを失うことにつながるとみている。
「ベッテルがマシンに乗っているときはそのほかのことは頭にないだろうが、それが裏目にでることもある」とビルヌーブは述べた。
「ベッテルは自分のしていることにとても集中しているが、それがすぎるとも言えるかもしれない」
「もしベッテルにリスクがあるとすれば、(第8戦アゼルバイジャンGPの)バクーであったような事件の二の舞にあるのではない。ベッテルが自分自身を消耗させてしまうことにある」
「シーズン全体を通してあのようなレベルの集中力を維持するのはとても困難なことなんだ。特に2017年シーズンは長いからね」