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『僕たちがやりました』の窪田正孝たちは新たなる“F4”だ 主演俳優4人が見せるチームワーク

2017年08月16日 18:43  リアルサウンド

リアルサウンド

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 いよいよ夏本番へと向かっていく中、ひしめき合うアツい作品群の全貌が見えてきた今期のテレビドラマ。その中でも最大の話題作にして問題作、そして野心作でもあるのは『僕たちがやりました』(関西テレビ・フジテレビ系)で間違いないだろう。火曜夜9時というゴールデンタイムでありながら、原作を細部まで忠実に再現した、予想を上回るあまりに過激な攻めの姿勢には歓喜の声を多く耳にした。


(参考: 窪田正孝と永野芽郁“11歳差”キスシーンに悶絶 『僕たちがやりました』青春描写の面白さ


 しかし、このドラマの魅力は原作の持つ過激さだけではない。第1話ではついつい過激さばかりに目がいってしまったが、続く第2話で確信するのは、漫画原作のキャラクターに生命を吹き込み、いきいきと、“そこそこ”の日常を生きる、窪田正孝をはじめとした俳優たちの魅力が大きいということ。「ギャハハハ!」とバカ笑いする声と姿が、すでに多くの方の頭から離れなくなっていることと思うが、増渕トビオ(窪田)、伊佐美翔(間宮祥太郎)、マル(葉山奨之)、パイセン(今野浩喜)、彼らのことを『花より男子』でお馴染みの“新たなるF4”(funny 4、ファニーフォー、「おかしな4人」略してF4)とでも呼びたくなるほど、この4人のチームワークは最高だ。


 主人公トビオを演じる現在28歳の窪田は、メインの高校生役を演じる俳優たちの中でも最年長。しかしその素朴な雰囲気から放たれる締まりのない半笑いの表情と、大小高低と巧みに操られた心の声で、トビオの表と裏、イマドキな若者の二面性を軽快に提示する。また、声の表現の巧みさといえば間宮だろう。舞台、ドラマ、映画と、フィールドを軽やかに横断し、着実にキャリアを積み上げつつある間宮。本作では奇異なヘアースタイルでそのイケメンぶりを抑制するも、しなやかな身体性と声には魅了される。また、愛らしい童顔と原作通りのキノコ頭が見事にハマっている葉山は、窪田や間宮の持つ“早さ”や“軽さ”に対し、たどたどしいセリフ回しで、このチームの“鈍さ”としていいアクセントになっている。


 そしてもうひとり、原作キャラのあまりの再現度の高さに絶賛の声が相次ぐ今野は、このチームを底上げ、さらには牽引している印象がある。“主役を食う”、“場をさらう”とは普通、熱演俳優への賛辞の言葉として多く用いられるが、今野は原作キャラと同様、あっさりと、それを成し遂げている。ムードメーカーのキャラクターであるから当然のことではあるが、この按配はなかなか難しいところ。芸人としての資質と特異な風貌を活かし、物語世界に嫌味なくマッチしているのだ。


 普通ならスベりがち、イタくなりがちな小ネタが満載の本作だが、彼らのチームワークが魅せるシーンのひとつひとつは、いちいち完成度が高く、手に汗握り、思わず声を上げて笑ってしまう。それは映像演出を含めたテンポや間の良さ、俳優個々のポテンシャルの高さもさることながら、彼らがお互いの特性をよく受け入れた上でリアクションを重ねている、ということが最も大きな理由だろう。4人ともそれぞれの自己主張以上に、相手が何か発したものに対してリアクションするのが抜群に上手いのだ。この積み重ねが、まさしく魅力的なシーンの成立に繋がっている。


 第2話から第3話へと、ひとり、またひとりと、チームはバラバラになっていく。早くまた、この“新たなるF4”が4人揃ってTV画面内を躍動しバカ笑いを轟かせ、私たちを魅了してくれる日が待ち遠しい。本作はいわゆる学園モノであり、人気若手俳優の多くが物語の中心を占めている事実や、SNSなどの盛り上がりから察するに、ティーン層からの支持が圧倒的に多い。しかしこの、原作の持つ過激さやキャラクターあるいはタレント性に頼ることなく、俳優個々の魅力が響き合うワンシーンごとのクオリティの高さには、幅広い層の人々が納得するもの。ますます目が離せない。


(折田侑駿)