インターネットサービスの設計・開発を行うゼロベースは8月9日、日本の起業家のメンタルヘルスについての調査結果を発表した。調査は2月20~27日、日本の起業家127人を対象にインターネット上で行った。
一方で「自分は価値のない人間だ」に関しては「全く思わない」が最多
同調査には厚生労働省の国民生活基礎調査などで使用されるスクリーニングツールを使用。過去1か月間のこころの状態について、6つの質問を行った。
各項目を見ていくと、「そわそわ落ち着かなく感じましたか」に対して、「いつも」と回答した人が14.2%。「たいてい」も22.0%おり、3人に1人はかなりの頻度で気持ちが落ち着かない状況にあるようだ。
また「気分が沈み込んで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか?」も「たいてい」が23.6%。「いつも」(9.4%)と合わせると33.0%となった。「神経過敏に感じましたか」も「たいてい」「いつも」の合計が26.0%となっている。
しかし「自分は価値のない人間だと感じた」については「まったくない」(42.5%)が最も多く、起業家然とした結果が出たと言えそうだ。
計6問の回答を「まったくない」0点、「少しだけ」1点、「ときどき」2点、「たいてい」3点、「いつも」4点とし、回答の合計値が「9点」以上だとメンタルヘルスに要注意だとした。
その結果、日本の起業家の37%が気分障害・不安障害の診断基準を満たすと推計されることが分かった。この数値は起業家でない人の約7倍だという。
米サンフランシスコの調査では起業家の7割にメンタルヘルス上の懸念
また、回答者の79.5%は企業年齢が5年以下。経営状況について「やや順調」が最も多く37.8%。以降「どちらとも言えない」(29.9%)、「やや不調」(14.2%)、「とても不調」(11%)、「とても順調」(7.1%)と続いている。
同社は、起業家は事業経営上のストレスを抱えがちだが、それを表に出すことは立場上困難だと指摘。また、起業家のメンタルヘルスは日本ではあまり問題にされてこなかったという。
しかし国外では起業家のメンタルヘルスに社会的関心が集まっている。UCバークレー&UCサンフランシスコの調査によると、起業家の72%がメンタルヘルス上の懸念を申告し、とくに鬱とADHDは3割という調査結果が出たという。
そうした背景を踏まえ、気になる症状が続いたり、生活に支障が出たりする場合は「自己判断せずに、周囲の人や専門機関に相談することが大切です。最寄りの病院やかかりつけの医師に相談してみるのもよいでしょう」と同社はアドバイスしている。