8月12~13日にアメリカ・ニュージャジー州にあるベイダー・フィールドで開催されたGRCグローバル・ラリークロスの第8~9戦のダブルヘッダーで、フォルクスワーゲン・アンドレッティ・ラリークロスのスコット・スピード(フォルクスワーゲン・ビートルRXスーパーカー)が、土日ともに予選から最速を記録して2連勝を達成。4連勝を決めてみせた。
昨年のイベントでも、ここアトランティックシティで勝利を挙げているスピードは、今年も予選ヒートから他を圧倒。難なくポールポジションを確定してファイナルへ。しかし、このスタートでまさかの事態がスピードを襲う。
「スタート自体は上手くいった。でも1コーナーの混乱でパックに巻き込まれ、気がついたら6番手にまで下がっていたんだ!」と、頭を抱えて振り返ったスピード。
「そこからは、まるで大きなグローブをはめてファイトしているような気分だった。なんとかオープニングラップ終了までに3番手まで戻して、そこでジョーカー(ラップ)を使わないのは少しリスキーだったけど、僕の背後のドライバーが誰も入らなかったので助かった。その後、ジョーカーを使って前のマシンを追うことができたんだ」
一方、スピードと同じくフロントロウからスタートしていたチームメイトのタナー・ファウスト(フォルクスワーゲン・ビートルRXスーパーカー)と、スバル・ラリーチームUSAの元WRCワークスドライバー、クリス・アトキンソン(スバルWRX STI RXスーパーカー)の2台も序盤のクラッシュにより後退。
アトキンソンのWRXは左リヤサスに深刻なダメージを負い、早々にリタイアに追い込まれる苦しい展開となってしまう。しかし、そのスバルの窮地を救ったのが、同じくWRC参戦経験を持つチームメイトのパトリック・サンデル(スバルWRX STI RXスーパーカー)だった。
セカンドロウのインサイドからスタートしたサンデルは、周囲の混乱をよそにレッドブル・ホンダ・オルスバーグMSEのセバスチャン・エリクソン(ホンダ・シビック・クーペ・タイプR)との駆け引きを制し、終盤までトップをキープ。
しかし、後方からみるみる迫ってきたフォルクスワーゲン・ビートルと抜きつ抜かれつのバトルを展開し、最後の最後でスピードにかわされる無念の結末に。それでも見事、今季初となる2位表彰台をゲット。3位に好調を維持するスティーブ・アルピン(フォード・フィエスタRXスーパーカー)が入った。
続く日曜のダブルヘッダー第9戦では、スピードの速さがさらに加速。前日同様すべてのセッションで勝利し決勝へと駒を進めると、今度は中団からの追い上げとなった前戦とは異なり、1コーナーでリードを奪ったきり、誰にも背後を脅かされることなく勝利。
セバスチャン・エリクソン、アルピン、サンデル、アトキンソンらで繰り広げられた2番手争いは、最終的にシビック・クーペ・タイプRのエリクソンが制し、2位表彰台。そしてお立ち台最後のスポットは、こちらも2戦連続でアルピンが確保。4位に、前日の借りを返すべく奮闘したアトキンソンのWRX STIが入った。
この連勝劇により、スピードはファウストを逆転してシリーズ首位浮上に成功。再びダブルヘッダーとなる次戦GRC第10~11戦は、9月8~10日にワシントン州シアトルのエバーグリーン・スピードウェイで開催される。