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【あなたは何しに?】ガスコインが2シーターF1マシンのテクニカルディレクターに就任した理由

2017年08月15日 13:32  AUTOSPORT web

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2シーターF1のテクニカルディレクターとなったマイク・ガスコイン
F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画。今回は、元ケータハム・テクニカルディレクターであるマイク・ガスコインだ。 
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 パドックの裏からハンガロリンクのコースを懐かしそうに見つめていた男がいた。2012年までケータハムでテクニカルディレクターを務めていたマイク・ガスコインだ。いったい、ガスコインはハンガロリンクに何をしに来ていたのか?

「このハンガリーGPから2シーターF1のテクニカルディレクターになったんだ」とガスコインは語る。

 2シーターのF1マシンが、今年のスペインGPからF1グランプリのサポートイベントとして催されるようになったという話は、以前F1 Topicでも触れた。このイベントはスペインGPの後、イギリスGPでも開催されたが、その後、ハンガリーGPに向けて、主催しているリバティ・メディアがガスコインにテクニカルディレクターを打診していたのだ。
 なぜ、ガスコインだったのか? その理由をガスコインは次のように説明してくれた。

「この2シーターF1の元になっているマシンは、ティレル026で、そのデザインを行なったのが私だったからだ」

 ティレル026は1998年のティレルのF1マシンで、高木虎之介がドライブしたマシンであり、かつティレルにとって最後のF1マシンでもあったため、ガスコインにとって「とても思い入れのあるF1マシンだった」という。


 そのガスコインへの打診をリバティ・メディアに働きかけたのは、元ミナルディのオーナーだったポール・ストッダート。ストッダートは数年前からオーストラリアGPでかつて自分がオーナーを務めていたミナルディのF1マシンを改良した2シーターカーを走行させるイベントを開催していた経験があるが、スペインGPから使用されている2シーターカーはティレル026を改造したものだったため、よりマシンに詳しいガスコインに協力をお願いしたという。


「私はポールがオーナーだったミナルディで仕事したことはないが、私がティレルにいたとき、ポールがティレルにスポンサーをしていたことがあり、顔なじみだった」(ガスコイン)

 ガスコインはティレルの後、ルノー、トヨタ、スパイカー、ケータハムでテクニカルディレクターを務めた後、MGI(マイク・ガスコイン・インターナショナル)を設立し、モータースポーツや自動車関連のコンサルタント業務を行なっている。

「現在、2台の2シーターカーをサーキットで走らせているが、イギリスのガレージにはもう3台ある。今年はこの後、ベルギーGPとイタリアGP、そしてアメリカGPとメキシコGPで2シーターカーを走らせるけど、リバティ・メディアは『来年は全戦で行いたい』と言っているので、あと2台増やそうと思っている」と語るガスコイン。

 その傍には愛息子のフレディくんがいた。将来の夢を尋ねると「F1マシンのデザイナー」だと語ってくれた。今後のF1はドライバーだけでなく、デザイナーも2世が活躍する時代が訪れるかもしれない。