2017年08月15日 10:33 弁護士ドットコム
昨今の猫ブームにより、猫を可愛がる人が増える反面、猫の虐待についてのニュースもよく耳にする。7月28日にも、千葉県市川市の駐車場で、早朝に犬の散歩をしていた男性が、虐待された猫の死骸を見つけ、警察に通報したというニュースがあった。
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報道によると、発見された猫は両手足と頭をひもで縛られ、駐車場のフェンスに吊り下げられていたという。また、腹部の肉が刃物で削がれたような跡もあったようだ。
このような動物に対する「虐待」をした場合、どのような罪に問われる可能性があるのだろうか。もし、虐待を見かけたらどうすればいいのか。動物をめぐる法律問題に詳しい渋谷寛弁護士に聞いた。
猫を虐待し殺してしまった場合には、動物愛護管理法の動物殺傷罪(同法44条1項)が成立し、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処せられます。同条の『愛護動物をみだりに殺し』に該当するからです。
この『愛護動物』は同条の4項で11種の動物等に限定されていますが、ペットとして親しまれている猫はこの愛護動物に含まれて保護の対象となっています。飼い主がいてもいなくても、保護の対象です。
今回の被害にあった猫が他人の飼育している物であれば、器物損壊罪(刑法261条)の成立の可能性もあります。ところが、器物損壊罪は親告罪ですから被害者からの告訴がないと処罰できません。
動物殺傷罪は、例え自ら飼っている猫だとしても、告訴がなくても処罰することが出来るのです。
今回のケースで、他人の飼育していた猫かどうかはわかりませんが、まずは動物殺傷罪の成立が検討されるでしょう。
いずれにせよ、虐待された猫の死骸を発見した場合は、犯罪として警察に通報するのが良いでしょう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
渋谷 寛(しぶや・ひろし)弁護士
1997年に渋谷総合法律事務所開設。ペットに関する訴訟事件について多く取り扱う。ペット法学会事務局次長も務める。
事務所名:渋谷総合法律事務所
事務所URL:http://www.s-lawoffice.jp/contents_01.html