2017年からWRC世界ラリー選手権に復帰参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑む次なる戦いは、第4戦ツール・ド・コルス以来となるターマック(舗装路)イベントの第10戦ドイチェランドだ。
7月末の第9戦フィンランドで、若手ドライバーのラッピが初優勝を飾り、今季2勝目を飾ったトヨタ。この好調な流れを維持して、特殊なターマックと呼ばれるラリー・ドイチェランドへ臨む。
ラリー・ドイチェランドの路面は、ぶどう畑の間を走る曲がりくねったステージや、軍事演習場であるバウムホールダーのコンクリート路面が広がるステージ、速度域の高い峠道など、大きく3つにキャラクターが分かれる。
どの路面も、わずかなミスが大きなアクシデントにつながる可能性も高い上、この時期のドイツは天候が変わりやすいことから、出走順が遅くなるほど路面コンディションも悪化しやすい。ドライバーとチームには、コースコンディションにあったマシンセットアップとタイヤ選びが求められる。
ラリーはドイツ南西部のボスタルジーを中心に行われ、サービスパークはボスタール湖の湖畔に設けられる。
競技は17日(木)にザールブリュッケンで2台同時並走のスーパーSSとして行われるSS1で開幕。翌18日(金)はぶどう畑のステージを中心に、そして19日(土)は軍事演習場内のSSをハイライトに争われる。
4日間で全21SSが行われ、その合計距離は309.17km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1165.25kmだ。
「(第1戦の)ラリー・モンテカルロはターマックといっても雪道も多く走るラリーだから、純粋なターマックラリーは今シーズン2回目になる」と語るのはチーム代表のトミ・マキネン。
「ラリー・フランス(第4戦ツール・ド・コルス)以降に施した改善の数々が、フランスとはまた異なるドイツの道でどのように機能するのか、興味深いところだ」
「先週行ったプレイベントテストでは、ダンパーなどいくつか新しいパーツを試すなど、ターマックに関する開発は現在も続いている。ドイツはとにかくコースが特殊で難しく、早い出走順の選手のほうが良い路面コンディションで走ることができるため、有利になるんだ」
「ラリー・フィンランドでの良い結果を受けて、選手たちはクルマに対しとてもポジティブなフィーリングを持っていて、雰囲気も良い」
「ヤリスWRCはドイツの道との相性も良いと思うから、とても楽しみだ」
ラリー・フィンランドを制したラッピは、「フィンランドでは優勝することができたが、ドイツに対するアプローチは何も変わらない」と冷静なコメントを残している。
「自分にとってフィンランドはもっとも馴染み深く自信のあるラリーだったが、ドイツはある意味真逆なんだ」
「問題なく最後までこのラリーを走り切り、5位以内でフィニッシュしてポイントを獲得することが、今回の目標だよ」
また、ランキング4番手につけるヤリ-マティ・ラトバラも「ラリー・ドイチェランドは今季もっとも難しいラリーのひとつで、ライバルも非常に手強いため、5位以内に入ることができれば満足だ」と語ったほか、フィンランドで3位表彰台を手にしたユホ・ハンニネンは「ターマックラリーでは速さを示すことができたから、今回も競争力を持って戦えると思っている」と自信を覗かせた。