BTCCイギリス・ツーリングカー選手権で唯一のスコットランド開催となる第7戦ノックヒル・ラウンドが8月11~13日に行われ、チームBMRのスバル・レヴォーグが大躍進。ジェイソン・プラトとアシュリー・サットンがポジションを入れ替えて連続ワン・ツー勝利を飾った。
不安定な天候のなか、なんとかドライで持ちこたえた状況で始まった予選セッションで、最適なアタック・タイミングを見極めポールポジションを獲得したのは、これがキャリア50回目の節目となるプラト。
「天候に翻弄されたことが功を奏した。完全ドライなら8~9番手が精一杯だったはず」と、記念のポール獲得を振り返ったプラトだが、同時に自身の状況と役割に関して複雑な立場であることを理解している、とも語った。
「マシンのアンダーステアは完全に解消できていないし、このポジションに長く留まるのはバカのすることだと理解している。(チームメイトの)アシュに選手権を勝ち取ってほしいからね」と、フロントロウに並んだサットンのアシストを買って出ることを示唆した。
迎えたレース1。セカンドロウに並ぶウエスト・サリー・レーシング(WSR)勢、コリン・ターキントンとロブ・コラードのBMW125i Mスポーツに対し、同じくFRマシンであるBMRのレヴォーグは盤石のスタートを見せワン・ツー体制を構築。
先頭集団のなかで唯一のハードコンパウンドをセレクトしていたプラトだったが、24周のレースを通じてソフト勢と遜色ないラップタイムを刻み、全体をコントロールしていく。
ただ1点、チームBMRに誤算が生じたのは、ファイナルラップに突入する23周目の計時タイミングのとき。
この最終周にリードラップを刻んだドライバーにアディショナル・ポイントが送られる「ジャック・シアーズ・トロフィー」のボーナス加算を狙い、2番手のサットンを先頭に出そうとしたプラトだったが、チームも両ドライバーも実際の計測ラインがピットエントリーにあるにも関わらず、スタート&フィニッシュラインだと思い込み、ポジションの入れ替えが間に合わず。
結果的にサットンが前に出ることは叶わず、そのままプラトが計時上、全ラップリードを記録する形でレースはフィニッシュ。
プラトが昨年の同じラウンド以来となる1年ぶりの勝利を挙げ、サットンが2位。ターキントンのBMWがファステストを記録しての3位表彰台となり、チームメイトのコラードと75kgのバラストに苦しみトップ10圏外に沈んだゴードン・シェドン(ホンダ・シビック・タイプR)を逆転し、選手権首位に立った。
5位には12周目に選手権争いに加わるトム・イングラム(トヨタ・アベンシス)をかわしたジェームス・コール(スバル・レヴォーグ)が入り、今季最上位を記録すると同時に、チームBMRにとっても貴重なポイントをイングラムから奪うことに成功した。
続いてチームBMRとWSRの上位独占グリッドで始まったレース2は、スタートで波乱が発生する。
フロントロウとセカンドロウ、4台のFRマシンたちは混乱なくスタートを切ったものの、その後方でポジションを争うイングラムのアベンシスと、マット・ニール(ホンダ・シビック・タイプR)、セナ・プロクター(ボクスホール・アストラ)、ステファン・ジェリー(フォード・フォーカスST)、そしてWSRのアンドリュー・ジョーダン(BMW125i Mスポーツ)らが絡む多重クラッシュが発生し、レッドフラッグとなった。
再スタートはクリーンに決まり、またもFR勢が逃げを打つ展開。その後方ではニールがシェドンを先行させタイトル争いをアシストするも、シェドンはイングラムのアベンシスを捉えての5位浮上が精一杯。最終的には“3台目のレヴォーグ”、コールにかわされ6位フィニッシュとなった。
一方の先頭集団では11周目にサットンがプラトの前に出ることに成功し、そのまま2台はフィニッシュラインまでバトルを継続してチェッカー。レース1の立ち位置を入れ替えた形で、スバル・レヴォーグが連続のワン・ツー・フィニッシュを飾った。
レース2トップ10のリバースグリッドとなる最終レース3は、セカンドロウ3番手スタートのイングラムが、コース上で見事なオーバーテイクを見せ首位浮上。中盤にセーフティカーが導入されリードが消失する中、しぶとくポジションを守りきり今季3勝目をマーク。
2位にタイトル争いを展開するシェドンのシビックと、3位に全戦表彰台となるターキントンのBMWが入り、わずか4ポイント差でサットンを上回りランキング首位を死守。265、261ポイントのふたりに続き、253ポイントの3位にシェドンがつける形となった。
次戦BTCC第8戦はノーザンプトン近郊にあるロッキンガムを舞台に、8月25~27日に開催。オーバルコースの一部を用いたパワーサーキットでの勝負が繰り広げられる。