ニコ・ロズベルグのフィジカルトレーナーを務めたダニエル・シュローサーは、“奇跡の男”ロバート・クビカはF1に復帰できるだけの身体能力を持ち合わせていると断言した。
クビカは2011年にラリーでクラッシュを喫し、右腕に酷い怪我を負ったためF1キャリアを休止せざるを得なかった。しかし今年、ルノーの協力のもと、旧型F1マシンでのテストを行い、ハンガリーでのF1合同テストではついに現行F1マシンをドライブした。右手の後遺症のため、クビカのパフォーマンスについては懐疑的な見方も多かったものの、テスト後、ルノーのエンジニアたちはクビカの身体能力における懸念を打ち消した。
ロズベルグの引退後、フォース・インディアのテストドライバーであるニキータ・マゼピンを担当しているシュローサーは、クビカにはF1で戦えるだけの身体能力があると確信している。
「彼の右腕には今も良い筋肉が付いているよ。量は少ないけれど」とシュローサーはSport Bild誌に述べた。
32歳のクビカはフルタイムのF1ドライバーとしてカムバックできると、シュローサーは断定した。
「たとえばニコ(・ロズベルグ)はいつも両方の手首が緊張していたから、腕を十分鍛える必要があった」とシュローサーは語った。
「でも他のドライバーたちはドライビングテクニックの面で異なっているから、ステアリングを握る手にそれほど力は入らない」
「ニック・ハイドフェルトはそうしたドライバーの1人だったし、おそらくはクビカもそうだろうね」
「彼らは他のドライバーほどには(腕の)トレーニングをしなくて済むんだ」
タイトな左コーナーではクビカの弱みがやがて出てきてしまうかもしれないが、うまく適応することで力不足を埋めあわせることができるとシュローサーは考えている。
「右で押すのではなく、左で引けばいい。それに技術にもよるけれど、この方がずっと効率が良いんだよ」
これまで見てきたことから、シュローサーはクビカがF1に復帰できると結論づけた。
「ハンガリーでは彼は非常に難易度の高いプログラムを高い気温のなか行っていた。若いドライバーたちだってきつかったと思う。あれがこなせるドライバーは誰だってグランプリで走ることができるよ」