2017年08月13日 10:13 弁護士ドットコム
実名が原則のフェイスブックとは違い、ツイッターは匿名で使っている人も多い。しかし、炎上をきっかけに書いた人が特定されてしまう危険性もはらむ。社会人がツイッターを使う上で気をつけるべき点はないのだろうか。
【関連記事:いじめ、就活…キラキラネームで辛い思いをしたくない! 改名するための手続きまとめ】
東京都内のデザイン関連の事務所で働く女性は、ツイッターに仕事の愚痴を書き込んだことを理由に過去、配置転換と降格を命じられたことがあるそうだ。「仲の良い元同僚に教えてしまったのが運のツキ。そこから漏れたようです」と話す。機密情報は書いていなかったものの、上司の逆鱗に触れたための降格だったようだ。
しかし中には、プロフィール欄に実名で勤務先を明記、あるいは匿名ながら勤務先がわかるように書いている人もいる。ツイッターで処分を受ける、受けないはどのように決まるのか。大山弘通弁護士に聞いた。
「通常の人事異動と異なる降格処分は、会社が労働者に何らかの制裁を加える懲戒処分の一種です。冒頭の女性のケースでは、降格処分は妥当ではなく、無効であると考えられます。
会社は『企業秩序の維持』のために、労働者に業務指示を出すことができます。違反する、つまり労働者に企業秩序に違反する行為があった場合には、会社は制裁のための懲戒処分をおこなうことができます。
ただ、冒頭の女性のように、勤務先も明らかにせず、書き込んだ内容も企業秘密が含まれていないようなケースでは、それを理由とする配置転換、降格処分は無効と考えられます。企業秩序の違反がないのに懲戒処分をおこなった場合はもちろん、懲戒処分が客観的に合理的でないとか、社会通念上相当でなければ、その処分は無効となるからです(労働契約法15条)」
では仮に、匿名、あるいは実名を出して、勤務先を公表している人が、過激な発言や、会社批判などをして炎上したような場合には、処分はやむを得ないのだろうか
「勤務先を公表して、過激な発信や会社批判をし、その結果として社の名誉を傷つけるようなことがあれば、懲戒処分がなされることもありえます。私生活上の行為は、原則として懲戒の対象ではありませんが、会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような行為については、私生活上で行われたものでも、処分することは可能です。
しかし、発信した内容が、内部告発のように正当な目的があれば、処分されるべきではない場合もあります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大山 弘通(おおやま・ひろみつ)弁護士
労働者側の労働事件を特に重点的に取り扱っている。労働組合を通じての依頼も、個人からの相談も多い。労働事件は、早期の処理が大事であり、早い段階からの相談が特に望まれる。大阪労働者弁護団に所属。
事務所名:大山・中島法律事務所
事務所URL:http://on-law.jp/