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占い「口コミ」、自作自演の場合の問題は? 信じた客、元恋人との復縁かなわず激怒

2017年08月13日 10:13  弁護士ドットコム

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別れた恋人とよりを戻すため、占い師に1万円を支払ったが、全く効果がなかったという人が「(相談料の)1万円を取り返したい」と、弁護士ドットコムニュースの法律相談コーナーに投稿しました。


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相談者によると、口コミ情報の評価が高かったため、電話占いで、この占い師に「元恋人とよりを戻せる」方法を頼んだそうです。占いの説明に「100%の効果は保証できない」と書かれていたのですが、全く効果がなかったため、「1万円取り返したい」と頭にきている様子です。口コミ情報についても「自作自演ではないか」と疑念を抱いているそうです。


占いが当たらなかった場合、詐欺罪にあたるのでしょうか。また、口コミ情報が自作自演だった場合は、どんな法的問題はあるのでしょうか。浮田美穂弁護士に聞きました。


●詐欺罪になるのか?

「占いは当たることもありますし、当たらないこともあります。占いが当たらなかったからといって、全てのケースが詐欺罪になることはありません。また、当たらなかったからと言って返金してもらえるわけでもありません」


違法性があると判断されるケースもあるのでしょうか。


「ある宗教法人の代表役員らに詐欺罪が成立するとした判例があります。


その代表役員は、天の声を聞く能力やそれを操る能力がないことを十分認識しながら、そのような能力があると偽っていました。さらに、その能力があることを前提に、面談者の足裏を診るなどしてその人の病気等の悩み事の状態や原因を的確に判断し、これを確実に解消する方策を提示すると述べて金銭を得ており、詐欺罪が成立すると認められました」


詐欺罪以外の問題もあるのでしょうか。


「先祖の因縁や霊界による害悪を告知するなどして、相手の不安をあおり、困惑に陥れるなどの不相当な方法で物品を販売したり、供養等をしたりする霊感商法・霊視商法に該当する場合には不法行為になります。


つまり、占いのふりをしてお金をだまし取ったら詐欺罪に、殊更不安をあおるなど方法が不相当な場合には霊感商法・霊視商法として違法行為となる可能性があり、このような場合は返金を求めることができます」


●占い師の口コミ、評判が自作自演の場合には?

投稿者の場合は、どうでしょうか。


「投稿者の質問は、占い師の口コミ、評判が自作自演の場合に、この占い師を詐欺罪で捕まえてもらえるかという質問です。口コミ、評判が自作自演の場合は、直接的に騙したわけではないので、詐欺罪で捕まえてもらうのは難しい場合が多いと思います。


ですが、占い師に法的な問題がないかと言われたら、そうではありません。


たとえば、不当景品類及び不当表示防止法第5条1項で『商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、または事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの』は、不当表示として禁止されています。


さらに消費者庁も、『商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイト に口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該口コミ情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる』としています。


自作自演の口コミ、評判を記載した場合は、不当景品類及び不当表示防止法第5条違反となる可能性があり、課徴金や措置命令の対象となります。その場合、被害者への返金も認められる場合があると考えられます」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
浮田 美穂(うきた・みほ)弁護士
2002年、弁護士登録。2010年度金沢弁護士会副会長。2011年から、石川県子ども政策審議会児童福祉部会委員。著書に 「ママ弁護士の子どもを守る相談室」(2013年、一万年堂出版)。
事務所名:弁護士法人兼六法律事務所
事務所URL:http://kenroku.net/