ホンダF1プロジェクト総責任者である長谷川祐介氏が、シーズン前半戦を終えたいま、ようやくパワーユニットのパフォーマンスが今年のプレシーズンテストを始める時点で目指していたレベルに到達したと語った。スタート地点でつまずいたことに失望している一方で、5カ月で大きな進歩を達成したことは誇りに思っているという。
マクラーレン・ホンダのプロジェクト3年目にあたる今年、大きなパフォーマンス向上が期待されていたものの、2月のプレシーズンテストからシーズン序盤にかけて、チームは信頼性、競争力の両面で苦しみ、第8戦アゼルバイジャンGPまでポイントを獲得することができなかった。第11戦ハンガリーで今季初のダブル入賞を果たしたマクラーレン・ホンダは、ようやくコンストラクターズ選手権最下位から抜け出した。
パフォーマンスの改善が徐々に見られているなか、長谷川総責任者は、本来なら今シーズンの最初の時点に現在の状態であるべきだったと語った。
「満足できる状態であるとはとても言えません」と長谷川総責任者はRACERに対して語った。
「本来、今のパフォーマンスレベルをシーズンを始める時点で達成しておかなければなりませんでした。そのため、『バルセロナの時点で発揮しているべきパフォーマンスレベルをようやく達成した』という思いです」
「約5カ月かかりました。通常の技術開発における常識から見れば、5カ月でこのレベルまで挽回したことを、私たちは誇りに思うべきです。ですがF1カレンダーの面から見れば遅すぎました。そのため私は、ほっとした思いもあり、シーズン初めにこのレベルを達成できなかったことに対する大きな落胆も感じています」
シーズン前半、ホンダのパワーユニットに失望したマクラーレンは、他マニュファクチャラーへのスイッチを検討し始めたと伝えられた。メルセデスとフェラーリはマクラーレンへの供給に消極的で、ホンダ以外の選択肢として残るのはルノーだけだともいわれている。
しかし徐々にパフォーマンスが向上してきていることがマクラーレンとの関係を改善する上で重要な意味を持つと思うかと聞かれた長谷川総責任者は、「もちろんそうです」と答えた。「彼らは常に進歩を求めています」
長谷川総責任者は、マクラーレンとの関係は良好であると示唆している。
「私たちは頻繁に話をしており、今も非常に密にコミュニケーションを取っています。ですから特別な会合の機会を設ける必要はありません」