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V6、“個”が集結して発揮される魅力とは? 最新作『The ONES』セールス好調の理由

2017年08月11日 07:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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 V6が8月9日にリリースした、最新アルバム『The ONES』。 オリコンデイリーCDアルバムランキングで見事1位を獲得し、なんと初日だけで前作のウィークリーを超える売上を記録した。なぜ今作はそのような好セールスを実現できているのか。その理由を芸能ライターの佐藤結衣氏が分析した。


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「全曲MV付き、音楽イベントを全編収録した特典映像、撮り下ろしのワチャワチャ特別ムービー、そして秦基博や浜野謙太(在日ファンク)、池田貴史(レキシ)、Micro(Def Tech)、堀込高樹(KIRINJI)などなど有名アーティストとのコラボレーション……TVスポットや街頭広告に添えられた“無茶したな、V6”のコピーに偽りなしの豪華さです。4年半振りの待望作という高まった期待値を遥かに超えるクオリティで、ファンを喜ばせていることが売上につながっているのではないでしょうか。切ないバラードから、疾走感溢れるダンスチューン、そしてコミカルなサウンドから、子どもたちに親しまれるやさしい楽曲まで…… V6の幅広い活躍と魅力をギュッと詰め込んだ作品に仕上がっています。楽曲ごとに異なる世界観を歌声や表情、動きで表現しているのはさすがの一言。“V6の本気、見させていただきました!”というのが、率直な感想ですね」


 本作では、メンバーがそれぞれ楽曲をプロデュースしていることでも話題に。選曲から歌詞の方向性、歌い分け、そしてMVの監修も行なった。V6としては初の試みだという。


「“この人らしいな~”とニヤニヤしたり、“え、この作品をあの人が? 意外!”と驚いたり、 メンバーの個性を存分に楽しむことができました。例えば、演技の仕事を主軸にしている森田剛さんがプロデュースした『ボク ・空・キミ』のMVは、 まるで映画を見ているような雰囲気ですし、 NHKの朝の顔を務める井ノ原快彦さんプロデュースの『レッツゴー6匹』は教育番組の歌のお兄さんたちといったキュートさ。それぞれが培ってきたもの、吸収してきたことが反映されていて、脳内を覗き見たような気持ちになります。個人的には、岡田准一さんがプロデュースした『刹那的Night』に心奪われましたね。石野卓球さん(電気グルーヴ) が提供した楽曲の中毒性の高さ。世界的なファッションデザイナー・串野真也さんが制作した、光の具合によって色味が変わって見える西陣織の衣装。チームラボによるインタラクティブなデジタルアート。そして静止する立ち姿から芸術的なV6のダンスパフォーマンス……日本が誇るクリエイターの才能を集結したようなMVは秀逸です。時代を超えた作品に多く携わる岡田さんなので、伝統と革新が入り交じるMVに繋がったのかもしれませんね」


 さらに、ジャケット写真では温度で絵柄が変化する感温印刷を採用するなど、新しい技術を積極的に取り入れているのも本作の特徴。


「アルバム全体を通じて“聴く”だけではなく、“触れる”、“見る”という様々な感覚で堪能できるのも多くの人に受け入れられている理由かもしれませんね。MVも歌詞の字幕付きバージョンが選べますし、初回限定盤に封入されたシリアルナンバーで見られるスペシャルムービーにも字幕があり、誰もが楽しめるように細部にまで配慮されているのを感じました。無茶をしたと見えるほどのボリュームを手掛けながらも、こうした丁寧で優しい作り込みに、スタッフさんを含めたチームV6らしさが見えます。作る側も、手に取る側も、それぞれの個がこの作品を通じてひとつになる。そして、またこのアルバムを新たな一歩として、よりいっそう進化を遂げていくのでしょう。V6には、さらなる“無茶”を期待してしまいそうです(笑)」


 ソロの活動が充実しているV6は、個々の活躍のイメージを強く持ってる方も少なくないだろう。だが、彼らが6人集まったときに発揮される魅力を知らないなんてもったいない、そんな気持ちにさせられる作品だ。(竹上尋子)