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水瀬きいの突撃インタビュー! vol.8 祝優勝! 野尻智紀選手

2017年08月10日 23:22  AUTOSPORT web

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「キライですか?」から始まった野尻智紀選手と水瀬きいのインタビュー。最後は笑顔になりました!
2017年からオートスポーツwebナビゲーターに就任した水瀬きいさんに、日本で活躍するレーシングドライバーに突撃インタビューをしてもらうことになりました。第8回目は、スーパーGT第5戦富士で小林崇志選手とともにポール・トゥ・ウインを達成! ARTA NSX-GTの野尻智紀選手です。なおこのインタビューはその記念すべきレースの搬入日に収録したので、富士戦のことは触れておりません。ご了承ください。

 ちなみに、野尻選手ときいさんは、以前から面識はあったそうなんですが、スーパー耐久で食事が一緒になったときに初めて会話して、今回はそれ以来のトーク。ただ、マジメな野尻選手の印象に、きいさんは「キラわれてる……!?」と感じたそうで、いきなりこんな質問になりました。ではどうぞ!

■対談はいきなりバチバチ!?
水瀬きい(以下Kii):あの、私のことキライですか?
野尻智紀(以下TN):好きじゃないです(笑)。

<一同爆笑>

Kii:えっと、理由は聞かないでおきます(笑)。では、まずは今シーズンの前半戦を振り返っていかがですか?
TN:スーパーGTでいうと、チームもすごく頑張ってくれていて、テストからレースごとに調子が良くなっています。今はチームの勢いも含めて、すごくクルマの能力が高くなっています。あとは僕たちが結果を出すだけですね。スーパーフォーミュラに関しては、タイヤが変わった影響か、昨年に比べると順位が良くない。それをどうにかしたいです。クルマのポテンシャルが高くないと前を走れないので、それに注力しています。SFはまだまだ手ごたえを掴んでいないですね。

Kii:今季のスーパーGTは4戦中2戦ポールポジションでしたが、注目を浴びている感じはありますか?
TN:今までスーパーフォーミュラでは速く走れていましたが、個人的にスーパーGTで存在感を示せていたのがあまりなかったんです。あと、個人的に言うと予選の速さや一発の集中力には自信もありますし、レーシングドライバーとして魅力的なのはそこだと感じている人間なので、今のスーパーGTで予選を速く走れているのは、自信になっています。

Kii:『オレ、イケてるぜ!』って感じはしてます?
TN:まだしてないです(笑)。もう少しいきたいです。

Kii:今季のARTA NSX-GTは、昨年までのNSX CONCEPT-GTとはどう違いますか?
TN:けっこう違いますけど、走り出した段階で、空力が削減されたレギュレーションの変化はあまり感じなかったです。フィーリングで言うと、ほぼ変わらないレベルでしたね。今年のレギュレーションに対して、ネガティブな部分はあまりなかったです。でも、そのなかで今まであった課題が残っていたりするので、そのあたりを改善してきています。ホンダさんも開発を進めてくれているので、それを僕たちがどううまく使うかがすごく大事になってくると思います。

■SUGOでのポールポジション獲得の瞬間は……!?
Kii:SUGOでポールポジションを獲った瞬間の感想を教えてください。
TN:最初は、クルマのなかにタイムが出るんですが、見た瞬間に『これでいけなかったら無理でしょ』という感触はあったんです。でも、無線が入るまでは分からないですし、走り続けないといけないので、ずっとコクピットでソワソワしてました(笑)。無線が来たのは馬の背のブレーキングくらいで、『ポールだよ。もういいよ』って言われました。言われない限りは本当はその周も攻めなければいけなかったんですが、(その前の周の)タイムを見てそれどころじゃないだろって(笑)。

Kii:タイムはステアリングに出るんですか? それは見られる余裕はあるんですか?
TN:ステアリングに出ます。見る余裕はコーナリング中はないですけど、ストレートとか、短いちょっとしたタイミングで見ます。ポール獲ったときはずっと見てましたよ(笑)。馬の背で言われて、ホッとしましたね。

Kii:岡山ではラッキーな部分もありましたが、今回はより嬉しかったですか?
TN:今回は僕がQ2のアタッカーだったので、やはり嬉しかったですね。ずっとQ1担当だったので、じつはスーパーGTでQ2にいくのが初めてだったんです。通るかギリギリのときは『速い方が先にいけ』となるし、こういうとなんですが、今までNSX勢のなかでそこまで余裕がなかったんです。だから余計に、『これがグリッドになるのか』と緊張もしました。Q1だったら通るのも大変ですけど、繋げばいいわけですから。レクサス勢がウエイト積んでいるのもありますが、オートポリスからいいパフォーマンスはあると思っています。

Kii:以前、乗る前にプレッシャーで気分が悪くなっていたと聞いていて、最近良くなったと聞きましたが。
TN:最近は軽減されていますね。1年目に比べるとだいぶマシです。でも、ヘルメットかぶったら平気なんです。

■野尻智紀流・休日の過ごし方は!?
Kii:スーパーGTのチームメイトである、小林崇志選手とはどんな関係ですか?
TN:そんなに関係してないですかね(笑)。

Kii:えっと、関係ないってコトですか? でも今日一緒に来ましたよね?
TN:来ましたよ。三島まで僕が迎えにいきました。パシリです(笑)。小林さんがふたつ上で先輩ですからね。

Kii:ふだんゴハン食べに行ったりしないんですか?
TN:小林さんはふだん広島在住ですからね。僕は都内ですし。

Kii:そっか! え~と、では最近のマイブームを教えて下さい。
TN:何かあったんですけどね~。こないだ、「コレがマイブームだ!」と思ったものがあったんですけど、忘れちゃいました。でも、趣味ってあまりないタイプなんですよね。

Kii:休日とか何してるんですか?
TN:引きこもりでしょ。引きこもりこそ最高の休日の過ごし方です(笑)。テレビずっと観たりとか。

Kii:きいと一緒ですね! きいは電気もつけずにボーッとしてます。
TN:あ~、分かります。レースがダメだったときとか自分もそうです。

Kii:では続いて。中山雄一さんとの関係を教えて下さい。スカラシップも別(野尻選手はホンダ、中山選手はトヨタ)ですが、なぜだかいつも一緒にいますよね?
TN:カートのときから、雄一は年代は少し下なんですが、ずっと知っていたんですよ。それにFCJ時代からずっと一緒なんです。FCJからF3-N、F3に乗るのも一緒で、スーパーフォーミュラにステップアップしたのも一緒。そうしているうちに仲良くなった感じですね。あと雄一はすごく人がいいんです。僕、あまり周囲と関わらないタイプなので、ふだん良く会うのは雄一と、あと富田くん(富田竜一郎)ですね。基本、人のいいタイプと一緒にいたいんです。

Kii:じゃあ、きいも一緒にいられますね。
TN:そうね。人いいもんね(棒)。

Kii:えーと(汗)、では最後に、今季の目標を教えてください!
TN:今季スーパーGTでは毎回ホンダのなかでいちばん速いですし、ポールポジションも獲ることができた。速さというものをみせられているので、このまま最後までいきたいです。欲を言えば、今回(第5戦富士)もポールを獲りたいし、何度かポールを獲りたいです。あとはレースの結果ももちろん出したいし、出さないといけないですよね。スーパーフォーミュラは、まだまだ結果を出すだけの基盤がないので、エンジニアと密にコミュニケーションをとってやらないといけないですね。いつまでもセルモに勝たせているわけにもいかないし、ホンダ勢の強さもみせたいと思っています。

<編集部から>
というわけで、のっけから変な空気が流れたこの対談。しかし写真からも伝わるとおり、やっと打ち解けてくれて、野尻選手も「楽しかったです!」と言ってくださったので、まあ成功というところでしょう。そして最後の宣言どおり、富士ではポールポジション獲得~そして見事優勝。有言実行を果たしてくれました。

野尻智紀
1989年9月15日茨城県生まれ。レーシングカートで世界的に活躍し、2008年にSRS-Fを首席で卒業。フォーミュラチャレンジ・ジャパンを経て、2011年から3年間全日本F3を戦った。2013年にはスーパーGT300クラスでARTA CR-Z GTをドライブしデビュー。14年にはスーパーフォーミュラ参戦を果たし、デビューイヤーで勝利を飾った。