2017年08月10日 19:23 弁護士ドットコム
犯罪被害者やその遺族でつくる「全国犯罪被害者の会」(あすの会)は8月10日、再犯防止の強化や推進計画を策定する法務省の検討会あてに、被害者の立場を理解したうえで実効性のある再犯防止策をつくるよう求める要望書を提出した。
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同会は要望書で、(1)再犯は裁判所の過誤によって生じることが多い、(2)仮釈放中の殺人は、仮釈放させた刑務所長らの「判断過誤」によって生じた犯罪だ、(3)被害者遺族は、お礼参り(仕返し)が恐ろしく、加害者がいつ仮釈放になるのか、どこに住むのか、気の休まるときがない−−と主張している。
要望書の提出後、「全国犯罪被害者の会」の顧問をつとめる岡村勲弁護士(同会顧問)らメンバーが東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。岡村弁護士は、逆恨みで妻を殺害されたことをきっかけに同会を立ち上げた人物だ。
岡村弁護士は会見で、刑務所内での教育など再犯防止の重要性について触れながらも、1回目の殺人で死刑とならず釈放された人物が「お礼参り」(仕返し)の殺人を犯すことがあることを指摘して、次のように訴えた。
「裁判所には、1回目に死刑にしておけば、2回目(出所後)の殺人はなかったのではないかという反省がまったくない。刑務所も出したらいけない者を出した責任について、まったく知らんぷり。モラルの崩壊だと思う。こういうことでいいのか。真正面から受け止めて、策定計画をきちんとつくってほしい」
また、同会副代表幹事の高橋正人弁護士は、2002年に大阪・心斎橋の路上で通行人2人が刺殺された事件を例としてあげ、裁判所などの姿勢を痛烈に批判した。
「1審は死刑、2審は無期懲役だった。現在、最高裁に上告されているが、無期懲役になって出てきたときどうするのか。(被告人は)手当たり次第に殺している。そんな危険な人間を野放しにして、誰が責任をとるのか。裁判所と日弁連は、無期懲役で出てきた人間をちゃんと雇ってずっと監視すべきだ。そういうことをしないで、簡単に無期懲役にしてしまう。日弁連はすぐに『人権だ、人権だ』というけれど、自分たちが雇えばいい」
(弁護士ドットコムニュース)