DTMドイツ・ツーリングカー選手権でアウディ・スポーツに所属するニコ・ミューラーが、WorldRX世界ラリークロス選手権の次戦、第9戦フランス・ラウンドでチームEKSからエントリー。マティアス・エクストロームとともにアウディS1 EKS RXクワトロをドライブすることが明らかになった。
現在25歳のミューラーは、昨年のWorldRXバルセロナ・ラウンドを訪問するなど、その後も数回のテストに参加しマシンをドライブ。現在、レギュラーとしてシリーズに参戦するエクストローム、トーマス・ヘイキネン、レニス・ニテッシュに加え、9月1~3日開催のロエアックで4台目のアウディS1をドライブすることとなった。
ミューラー自身、彼のフェイスブックに「この機会を与えてくれたことに心から感謝している。このビッグチャレンジが本当に待ちきれない」と喜びの声を綴っているが、その背景にはDTMで僚友となるエクストロームとの、こんなやりとりがあったという。
「2016年のDTMテスト期間中に、マティアスと賭けたんだ。僕が勝てばアウディS1 EKS RXクワトロをドライブできる。でも負ければ、彼のタイヤセットを清掃する係、ってね」
「それで、残念ながら僕が負けて昨年のバルセロナでは全力でタイヤ掃除をした(笑)。その仕上がりが最高だったからか、マティアスが僕にS1を少しだけドライブさせてくれたんだ」
「あのマシンは本当に狂ってて、すぐに中毒になったよ。その日から、僕の夢は世界ラリークロスで競争することになったんだけど、その夢がついにフランスで叶うんだ!」
DTMのみならず、GP3、フォーミュラ・ルノー3.5でも勝利を挙げてきたこのスイス人ドライバーは、ロエアックでのデビュー戦で「適切なリザルト」を得たいと望んでいる。
「もちろん、できる限り楽しみたいと思っているけど、楽しむためだけにフランスへ行くつもりはない。適切なリザルトを持ち帰りたいと思っているんだ」
そのミューラー加入を受けて、チーム代表でもあるエクストロームは「世界ラリークロスで4台のマシンを走らせるのは、長年の夢だった」と歓迎の言葉を述べた。
「昨年のバルセロナ戦で、たまたま写真撮影のためだけに4台のS1を並べたことがあった。撮影だけとはいえ、その景観は本当に特別なものだったよ」
「それがロエアックで現実になるのは最高の気分だし、4台目のマシンをニコがドライブしてくれるのもうれしい。彼はテストでも最初から速かったからね」
前戦のカナダ・ラウンドではセミファイナルのクラッチトラブルで決勝進出を逃し、選手権ランキングで3位に後退となったエクストローム。王座防衛に向け、この4台体制で巻き返しを図りたいところだ。