今年で最後となる鈴鹿の名物レース、鈴鹿1000km。ドライバーとして、そして現在は監督して今年の1000kmに臨む国内モータースポーツ界のレジェンドたちに、当時の思い出と今年の抱負を聞く。
第1回目は現役時代に鈴鹿1000kmを4度制し、現在はスーパーGT500クラスに参戦しているTEAM KUNIMITSUを率いる高橋国光総監督だ。
■高橋国光(TEAM KUNIMITSU 監督)
・1973年/1984年/1985年/1989年 鈴鹿1000km優勝ドライバー
「(鈴鹿1000kmは)1966年に始まったとのことで、最初のレースのときの記憶は僕はないのですが、大変伝統があるレースで、我々にとってはすごく過酷な、それでいて素晴らしいレースだと思っています」
「長距離レースで言えば12時間や24時間レースがありますが、1000kmも長距離レースにあたりますよね。今は24時間レースもスプリントのように走らなければいけないから、1000kmはさらにスプリント並みに厳しいレースだと認識しています」
「今年で鈴鹿1000kmというのが最後と聞いて、すごく寂しいな……とは思っています。『なぜ?』って聞きたいくらい(笑)。来年からは10時間レースということですが、それもなお厳しいレースになるのではないでしょうか。一方で、今年はいろいろなことを思い出しながら、スタートからチェッカーまで楽しみたいと思いますね」
「僕はかなりの回数(鈴鹿1000kmに)出場していますが、思い出に残っているのはポルシェのグループCカーに乗っていたとき。正確な年は思い出せないんですが、フラフラになって乗った覚えがあるんですよ」
「そのときは3人ではなく、2人で組んでいたんですが、まだ僕は元気で、走りも元気だったから、ひとりで乗ることができる最大の時間のギリギリまで乗っていたんです。『早くピットインのサインを出してくれ! なんでこんなになってまで乗らなきゃいけないんだ』って(笑)」
「その思いがあったから、その後ル・マンで土屋圭市がフラフラになっているのを見て、ああ、あの時と同じだな……と感じましたね」
「そういうレースの厳しさやモータースポーツの素晴らしさを感じることができたのが、鈴鹿1000kmなんです。すごく印象に残っています。その意味では今年が最後なので、ウチのチームのふたりのドライバーにも頑張ってもらいたいですね。そして、来年から始まるレースにも期待したいです」
「今年は監督としては、優勝しか狙っていません。もちろんいつもそうですけど。今は競争相手もレベルが高いので、なお一層ドライバーにとっても挑戦しがいがあると思うんです。そして、それに応えられるマシンをホンダ陣営として作っていかなければならないと思っています」