フォーミュラワン・グループのCEOであるチェイス・キャリーは、F1の新世代エンジンの方向性を決めるうえでキーワードになるのは、“大音量、安価、高性能”であると語った。
キャリーは、コスト削減と公平な収益配分とともに、エンジンの新たな方向性を正しく定めることによって、将来のF1が向上すると考えている。
F1では2020年までは現行のターボハイブリッドV6エンジンを使用することになっているが、それより後の新エンジンレギュレーション計画について、FIA、F1、マニュファクチャラー間ですでに協議が始まっている。今年に入り、現在参戦しているマニュファクチャラーだけでなく、それ以外のメーカーも招かれ、F1パワーユニット・ワーキンググループの会合が開催された。
「すでにいくつかの取り組みが始まっている」とキャリーは今週、ドイツのAuto Bild紙に語った。「そのうちのひとつは新しいエンジンだ」
キャリーは、メルセデスが現在のエンジン仕様への対応をいち早く進めて優勢に立ったことに強い印象を受けたと躊躇なく認めているが、今のF1には解決すべき問題がいくつかあると指摘した。
「現在のパワーユニットを極めたメルセデスには脱帽する」とキャリーは語った。
「だがパフォーマンスの差が大きすぎるのだ。だから“より大音響かつ安価で優れたエンジン”という標語を掲げて、状況をよりシンプルにしたい」
「もうひとつはコストだ」と63歳のキャリーは続けた。「現在、年間で5億ドル(約550億円)を使うチームがあれば、一方で1億ドル(約110億円)しか使えないチームもある。これでは競争が妨げられ、歪められてしまう」
「チームが競技をする中で収益を得ることが目標であるべきだが、実際は現時点で利益を生み出しているチームは存在しない」とキャリーは指摘した。
一方、将来に向けた電気自動車開発という側面をフォーミュラEが引き受けているのに対し、F1がどのような方向を選ぶのかが問題視されている。
FIA会長のジャン・トッドは、F1が以前のV8やV10エンジンに戻ることはないとすでに明言している。
元F1世界チャンピオンのアラン・プロストは、コンストラクター側も以前のエンジンに戻ることは希望していないと述べた。
「自然吸気エンジンに戻りたいと思っているコンストラクターはいない」とプロストはCrash.netに対して述べた。
「ただ彼らは少なくとも今ほど複雑ではないエンジンを使用することを望んでいる」とプロストは続けた。「しかし電気は違った形で使い続けるだろう。異なる形で使うようになるかもしれない」
「昔のエンジンに戻りたくないというのは当然のことだ」