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STCC:ホームイベントに挑む24歳の女性ドライバー、ミカエラ。「最高の結果を夢見てる」

2017年08月09日 14:42  AUTOSPORT web

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2017年からSTCCに参戦を果たしたルーキー、ミカエラ・アーリン-コチュリンスキー
8月11~13日に後半戦開幕となるSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権。同シリーズを代表するトラックであるカールスクーガでの1戦に向け、STCCルーキーの女性ドライバー、ミカエラ・アーリン-コチュリンスキーが「本当に良い結果が得られることを望んでいる」との抱負を語った。

 サマーブレイク明けのシーズン後半戦、STCCシリーズはスウェーデンの首都ストックホルムから西に約250kmの工業都市、カールススクーガに再集結。現在は通信産業が盛んだが、鉄鋼と軍需産業、そして鉄道の要衝として栄えたこの都市は、同時にスウェーデンを代表するレーストラックを持つことでも知られる。

 このカールスクーガ近郊で生まれ育ち、かつてはF1も開催されたこのモータースタディオンを“ホーム”とする24歳のミカエラは、STCCで地元に凱旋することを喜んでいる。

 ダカール・ウイナーを祖父に持つ彼女の家系は、父のジェリーと母のスザンヌもラリースト。そして兄のフレデリックは、BRCイギリス・ラリー選手権の上位を争うトップランカーというモータースポーツ一家でもある。

 ミカエラ自身も、今季はTCR規定に生まれ変わったSTCCに、PWRレーシングのジュニアチームからアウディRS3 LMSでエントリー。同時に、昨年から引き続きドイツのADAC GTマスターズでR8 LMSをドライブし、両選手権でアウディ・ドライバーとして戦っている。

「今年は異なるマシンで多くの走行機会が得られているし、本当に楽しんでいる。それこそ、多くのドライバーが夢見る境遇でしょう? もちろん、多くのことを学んでいる最中よ」

 今季のSTCC序盤戦では、初めてのシリーズ、初めてのマシンに馴染むかのように“スロースタート”を見せ、開幕戦クヌットストープでは「本当にただ、ラップしただけ」だった彼女だが、GTマスターズとのバッティングで欠場となった第2戦のフィンランドをはさみ、第3戦ソルバラ、第4戦ファルケンベルグと、目に見えてスピードが向上。

 ストックホルムのソルバラでは上位勢の背後、8位でレース2をフィニッシュ。ファルケンベルグでも最高位は9位に留まったものの、予選アタックでは6番グリッドを獲得するなど、劇的な成長曲線を描いている。

「スピードの面では、毎週末良くなっている手応えがあるわ。毎戦、ロバート(・ダールグレン)やヨハン(・クリストファーソン)たち、トップとのギャップが縮まっていると感じるの」

「今後の課題はそのスピードを全体に維持して1周をまとめたり、レース距離全体でマネジメントできるようになることね。願わくばホームラウンドでその成果が出るように……と夢見てるわ」

「このカールスクーガのトラックで初めてレーシングカーを走らせた。そのときはテッド・ビョークも一緒で、もし最初からそれを知ってたらボルボを借りてたわね(笑)」

「兄のフレデリックは私の走りを見て『まだまだだな』って言ってたけど、それが最初の強烈な記憶なの」

 今季開幕前にストックホルム郊外にアパートを借りた彼女だが、そこで生活を始められたのはつい数カ月前。遅れてしまったのは、トレーニング中の怪我で右足を負傷していたからだった。

「そう、私は元体操選手でもあって、トレーニングを兼ねてクリスマス前に鉄棒をしていた。前方1回転半宙返りにひねりを入れようとしたら、回りすぎて着地に失敗。それで荷重が掛かりすぎて右足を骨折したの」

「全治3カ月と言われたけど、それより短い期間でテストドライブをし、STCCのシートを得ることができた。まだ足が痛む日はあるけど、ドライビングを止めることはできないわ」

 STCCシリーズ唯一の女性ドライバーである彼女が挑むホームイベント、カールスクーガでの第5戦は、8月11~13日に開催される。